2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ0460
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秋山 吾篤 千葉大学, 融合理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 液晶 / 強誘電性 / 焦電性 / カラムナー液晶 / 水素結合 / ディスオーダー / キラリティー / 分極 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)分岐側鎖を有するジフェニルウレア分子について,強誘電性に特徴的な分極と電場のヒステリシスループを得ることに成功した。ヒステリシスループの印加電場の依存性を評価すると,高周波数ほど明瞭なヒステリシスが観測され,低周波条件におけるイオン性不純物の影響が懸念された。不純物が強誘電性に及ぼす効果を検証するため,不純物をドープした試料を作製し,電流測定と第二次高調波発生測定を実施した。結果,0.1%の不純物添加によって,望ましくないバックグラウンド電流の増加や脱分極が確認された。一方,これまで使用した非ドープ試料では,このような挙動は観測されず,不純物の効果は無視できると言える(ACS Appl. Electron. Mater.誌に掲載)。(2)側鎖に(S)-citronellyl基を4つ有するウレア分子は,強い分子間力によって分極反転が不可能であり,強誘電性が確認されなかった(Mater. Lett.誌に掲載)。分子間力を適度に低減させるため,立体障害の大きな2-butyloctyl基を6つ有する分子との混合物を作製し,混合物が室温強誘電性カラムナー液晶(FCLC)を示すことを見出した。FCLCを形成する要因を特定するため,複数の混合比で作製した試料の集合構造の評価を行った。結果,側鎖の立体効果によって異種分子が交互に積層し,カラムナー液晶が構築されることがわかった。また,混合比によって分子間力を微調整でき,ウレア基の分極反転(強誘電性)が促進された。 本研究によって,(1)では側鎖の立体障害,(2)では混合比によって,集合状態における分子間力を調整可能であり,室温FCLCの作製に関する知見を提示できた。これまで報告されたFCLCでは,分極反転と分極維持はトレードオフであったが,(2)の手法はそのトレードオフを解消し,FCLCの設計を開拓する指針として有用なものである。
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Research Products
(6 results)