2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ0461
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
磯辺 篤 千葉大学, 融合理工学府, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 超分子ポリマー / トポロジー / バルビツール酸 / 水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、バルビツール酸が修飾されたπ共役系分子から高濃度で超分子ポリマーを得るための新規重合法の開発と湾曲性超分子ポリマーのフォールディング過程の調査に取り組んだ。 研究内容1:所属研究室の旗艦分子であり、ラセン超分子ポリマーを形成するモノマーは、精製過程で結晶性多形体へと自己集合してしまい、重合を行う溶媒に難溶であった。多形体の形成に由来する難溶性を克服する手法として製剤研究の分野で着目されているコフォーマー法に着目した。コフォーマーは、難溶な多形体を形成する分子と共会合し、結晶化を抑制する分子である。本研究では、コフォーマー分子としてラセンポリマーを形成するモノマーのπ共役部位にメチル基を1 個導入した分子を合成した。設計したコフォーマー分子は、バルク状態で不定形の凝集体を形成し、高い溶解性を示した。これら2分子を混合した溶液を乾燥させて薄膜を作製すると、難溶な結晶性多形の形成が抑制され、分子の溶解性が劇的に向上し、ラセン超分子ポリマーを高濃度で得ることに成功した。この内容に関しては、Angewandte Chemie誌に投稿し、プレスリリースを行った。 研究内容2:上述のラセン構造を形成するモノマーのπ共役部位を構成する芳香環の配列を組み換えた分子は、温度制御による超分子重合により高温領域で直線状超分子ポリマーを形成し、室温まで冷却すると直線状超分子ポリマーが湾曲性超分子ポリマーへと構造転移することを顕微鏡観察および小角X線散乱測定により見出し、この構造変化が温度に対して可逆的に起こることを実証していた。本年度は、直線状超分子ポリマーの主鎖が湾曲性超分子ポリマーへ直接フォールディングすることを分光学的に明らかにした。また、高濃度での溶液を調製すると、湾曲性超分子ポリマーは粘性液体であったが、ポリマー主鎖が高温でアンフォールディングするとゲル化することが明らかになった。
|