2021 Fiscal Year Annual Research Report
核酸送達用人工エクソソームによるリンパ節内微小環境制御と自己免疫疾患治療への応用
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21J20728
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
五味 昌樹 千葉大学, 医学薬学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | mRNAデリバリー / 脂質ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、所属研究室独自の脂質様材料を基盤とした脂質ナノ粒子の創製について、製剤・ドラッグデリバリー双方を考慮した処方の最適化を実施した。脂質ナノ粒子の作製で頻用されるマイクロ流体デバイスを利用するにあたり、脂質のアルコール溶液が必要だが、一部の脂質は溶解性が低いのが問題である。そこで、脂肪酸鎖の長さおよび二重結合の数を調節し、tert-ブタノールに可溶な脂質群を合成した。これにより、機械を用いた簡便かつ再現性の高い脂質ナノ粒子作製が可能になった。新規に合成した脂質群および所属研究室独自の脂質様材料を含有する脂質ナノ粒子を、リンパ節から調製した細胞懸濁液に曝露し、免疫細胞による粒子取込み量を指標として最適な脂肪酸鎖の脂質を選定した。本業務により、脂質ナノ粒子に含まれる脂質の脂肪酸鎖が免疫細胞への指向性に影響を与えることを明らかにした。続いて、選定した脂質を含む脂質ナノ粒子を用いて、in vivoにおける各種臓器へのmRNA送達を解析した。加えて、細胞レベルの解析により、組織中でmRNAが送達された細胞の同定を行った。一連の実験結果から、脂質ナノ粒子の処方設計により、特定の臓器に効率的にmRNAを送達できることが明らかになった。本研究は特定の臓器を標的として自己免疫疾患の治療法を確立することを目的としており、臓器の標的化が可能な脂質ナノ粒子の確立に成功した今年度の成果は、本研究を大きく進展させるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究業務により、脂質ナノ粒子の組成・製法がmRNAの組織選択性に与える影響を明らかにした。この知見をもとに確立した脂質ナノ粒子を用いて、当初の予定通り疾患治療への応用研究が可能となった。一連の実験結果から、当初想定していた投与ルートとは異なる手法を用いる予定だが、①脂質ナノ粒子の確立、②疾患治療への応用という大まかな研究方針には則っていることから、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究により確立した脂質ナノ粒子を用いて、自己免疫疾患の治療法を模索する。これまではレポーター遺伝子をコードしたmRNAによりナノ粒子およびmRNAの動態的特性を追跡してきた。今後はmRNAを治療用mRNAに置き換え、標的組織に送達することで自己免疫疾患の病態を改善できるかを解析する。治療用mRNAとしては自己抗原をコードしたmRNAを用い、対自己応答の特異的抑制を目指す。治療効果が得られた際は、mRNAの送達により引き起こされる病態メカニズムの変化を詳細に解析する。
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