2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ0466
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
齋藤 卓穂 千葉大学, 融合理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 自己集合 / 超分子キラリティー / 2次核形成 / 光異性化 / アゾベンゼン / 過飽和 / 非対称性の増幅 / らせん |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、キラルなアゾベンゼン分子の自己集合からなる、光により巻き方向を自在に反転可能ならせん集合体を用い、これらのスピントロニクス材料への応用を検討した。スピントロニクスとは、電子が持つ「スピン」を情報として利用する技術である。通常の電流は電子スピンの向きが定まっておらず磁気情報を持っていないが、スピンを一方向にそろえることで磁気情報を持たせることができる。このようにして得られた「スピン偏極電流」は、省電力デバイスへの応用が期待されている。らせん集合体のスピン偏極特性を調査するために、京都大学との共同研究により、スピン偏極コンダクティブAFM測定を行った。その結果、当該らせん集合体は左巻きと右巻きとで真逆のスピン偏極特性を示すことが明らかになった。また平均的なスピン偏極特性は優に60%を超え、有機材料として非常に高い値を示すことも明らかになった。 本申請研究ではキラルなアゾベンゼン分子の自己集合における核形成を光により制御し、巻き方向を自在に反転させることに成功した。自己集合 の時間依存データをタンパク質のアミロイド凝集における2次核形成の解析に用いられる理論モデルを用いて解析することで、2次核形成の寄与を証明することができた。さらに、分子のわずかな非対称性の偏りが階層的な自己集合を介して増幅される現象の発見に成功した。これらの結果は、生体内のタンパク質やDNAなどの生体分子が片方の鏡像体から構成されている、ホモキラリティという現象の理解を前進させるだけでなく、らせん構造が機能の鍵となる機能性材料の開発における新たな設計指針となることが期待される。
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[Presentation] Hierarchical self-assembly of urea derivative via cooperative mechanism2023
Author(s)
Kimura Shinya, Adachi Kurea, Ishii Yoshiki, Komiyama Tomoki, Saito Takuho, Nakayama Naofumi, Yokoya Masashi, Yagai Shiki, Kawai Shinnosuke, Uchihashi Takayuki, Yamanaka Masamichi
Organizer
IPC2023
Int'l Joint Research