2023 Fiscal Year Annual Research Report
ジアゾフリー銀カルベン発生法に立脚した新展開と薬理活性分子群の合成
Project/Area Number |
22KJ0470
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 翼 千葉大学, 医学薬学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 銀カルベン / ジアゾフリー / 環化付加反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はシクロヘプタトリエン(CHT)、ノルカラジエン(NCD)に対する新規環化付加反応の開発を報告した。申請者はイナミドを用いたジアゾフリーな銀カルベン発生法を用いて、活性化されていないベンゼノイドに対する不斉脱芳香族化反応を報告した(J. Am. Chem. Soc. 2021, 143, 604.)。また、系中でトリアゾリン類を加えることで、CHTの互変異性体であるNCDと速やかに[4+2]-環化付加反応成績体へと変換することが可能であった。この結果を踏まえて、異なるエノファイルとの環化付加型反応を展開することで更なる複雑縮環骨格が構築できると期待して研究を開始した。機械学習モデルを補助的に活用することで、効率的にエノファイル候補群を選定した。その中でニトロソ化合物をエノファイルとして用いた場合に、トリアゾリンとは異なる化学選択性が発現し、CHTとの[6+2]-環化付加型反応が進行したと考えられる反応成績体のみを得た。DFT計算を用いて反応メカニズムを解析すると、段階的な反応経路を経ることが示唆された。また、この環化付加型反応はイナミドを用いた銀カルベン反応からワンポットで進行させることが可能であった。上記の研究成果より、イナミドから光学純度の高い環化付加型反応成績体へと一挙に変換できることを見出し、イナミドを用いたジアゾフリーな銀カルベン発生法の新たな応用展開を可能とした。本年度の成果に加え、検討の中で派生した有機ホウ素触媒を用いた、脱芳香族型スピロ環化反応の開発とその反応機構解析を昨年度報告し、研究機関を通じて、新規カルベン反応の展開と機構解析による反応理解に努めた。
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