2020 Fiscal Year Annual Research Report
Examining the use of "local connection" in homeless support as a way of nurturing one's everyday living
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20J01462
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河西 奈緒 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD) (20817522)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2024-03-31
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Keywords | ホームレス / 地域とのつながり / 居住支援 / 社会住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度前半の研究成果は以下のとおりである。 まず「東京都区部における支援システムを通じたホームレスの人々の地域間移動の実態を明らかにする」という本研究第1の目的達成に向け、都区部の公的支援システムを構成する各事業の基本情報を整理し、公表されている事業実績資料の収集と資料に掲載されている項目の整理を行った。この作業により、公的支援の各窓口および施設に対して今後実施を予定しているアンケート調査の基礎情報を得た。また、都区部で住所不定の人々が生活保護を受給する際に利用される民間宿泊所(宿泊所自体の立地は23区内に限らない)について、既往研究等を参考に仮のリストを一旦作成し、各宿泊所を運営する社会福祉法人やNPO等の団体資料を収集した。仮のリストは、支援関係者へのヒアリングにより今後作成する、実際に住所不定者受入れ先となっている民間宿泊所リストの土台となるものである。 次に、「都内および英国における地域居住支援の内容を明らかにする」という本研究第2の目的達成に向け、都内で地域居住支援を行う民間支援団体とコンタクトをとり、当団体の居住支援活動について資料を取得し、情報の読み込み・整理を行った。団体概要や支援フロー、支援フロー内の居住支援活動の概要を把握すると共に、活動が行われている場所や地域を地図上にプロットした。また、地域内外の関連プレイヤーについても、可能な限り資料から読み取り、場所が分かるものについては地図上にプロットして地理的関係を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の前半は、年度の後半に予定していた公的支援機関へのアンケート調査を行う上で必要となる基本データの収集・整理を終え、研究再開後に調査票を作成・送付する準備を整えることができた。また、初年度に予定していたもう一つの調査である民間宿泊所の調査については、COVID-19の影響で現在支援現場が多忙・混乱を極めているため、調査対象となる宿泊所を特定するための支援関係者へのヒアリングを、予定よりも時期を遅らせることとし、資料調査で可能な限りの作業を進めた。 上記の民間宿泊所調査で進められなかった部分については、代わりに翌年度以降に計画していた地域居住支援の事例研究の基礎作業を進めた。 以上を総合し、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず初年度後半に実施予定であったアンケート調査については、収集・整理した基本データを研究再開後に更新し、その上で調査票を作成、調査対象の公的機関へ送付する。民間宿泊所調査についても同様に、関係者へのヒアリング、対象宿泊所の特定と事業成果データの収集を研究再開後に進める。これらの調査結果を統合し、支援システムを通じたホームレスの人々の地域間移動の実態に関する論文を、2021年度末に学会へ投稿する。 2022年度は、東京都内および英国ロンドン、マンチェスターにおける地域居住支援の事例調査を行う。都内の活動事例については、すでに事例の選定、概要の把握を終えており、引き続き対象団体へのヒアリング調査や現地見学を実施する。英国の事例調査については、現時点では現地ヒアリング調査およびフィールドワークの実施を考えているが、感染症の状況によっては、Zoom等を活用したオンラインでの調査を検討する。これらの研究成果は、当該年度末に論文としてとりまとめ、学会へ提出する。 最終年度は、ホームレスの人々の地域間移動の実態をもとに、公的支援を利用したこれらの人々が23区に同じ割合で分布するモデルを想定し、各区の住宅確保目標値を算出、さらに特定の区について、目標住宅数確保のための具体的な方策を検討・提案する。また、「地域とのつながり」を軸としたホームレス支援策を実施することの意義を考察し、実現に向けた制度レベル・実践レベルの課題を抽出する。最終的にこれらの研究成果を論文にまとめ、学会へ提出する。
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Research Products
(1 results)