2020 Fiscal Year Annual Research Report
激変する北極海海洋微生物群集の動態解明: 気候変動への応答
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20J40007
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茂手木 千晶 東京大学, 東京大学大気海洋研究所, 特別研究員(RPD) (60911675)
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Project Period (FY) |
2020-10-12 – 2024-03-31
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Keywords | 西部北極海 / 微生物 / 細菌 / ウィルス / 群集組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、西部北極海において、海洋環境の顕著な変化が起こる時期の微生物群集組成および多様性の時空間分布および時系列変化を明らかにすること、また細菌群集の組成や動態、および細菌を取り巻く微生物群集の動態、特にウィルス溶菌圧の影響を定量的に明らかにすることを目的としている。本年度は、西部北極海における、海氷消失期の細菌R N Aの時空間分布の解析を中心に行った。西部北極海の12測点2深度、浮遊性および付着性の異なるサイズ画分から採取した試料のRNAの解析を行った結果、サイズ画分の違いにより西部北極海の細菌群集組成が顕著に異なることが明らかになった。サイズ画分の違いによる細菌群集組成の違いが西部北極海の広範にわたり見られたことは初めての知見である。また、西部北極海の細菌群集と北極海の入り口にあたる太平洋ベーリング海の群集とでは群集組成が異なることが明らかになった。さらに解析を進めた結果、西部北極海において、サイズ画分、水塊、水深が細菌群集組成に影響を及ぼす要因であることが示された。この結果を論文としてまとめ、国際誌に投稿する準備を行なった。さらに、北極海の細菌群集動態の支配要因の一つであるウィルス感染の影響を検証することが本研究の推進の上で非常に重要であるが、付着性細菌や凝集物に対するウィルス溶菌圧を検証する実験方法が確立されていない。そこで、方法を確立するため、文献調査と実験方法の検討を行い、予備実験を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の影響により実験の実施は制約をうけたが、データ解析などの面での研究は進展し、研究はおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に検討を進めた方法を用いて実験を実施する。その結果を総合的に解析し、付着細菌群集に対するウィルス感染の影響についての理解を深化させる。また、その成果を国内外の学会で発表するとともに、論文作成を進める。
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Research Products
(1 results)