2023 Fiscal Year Annual Research Report
近傍銀河内の分子雲衝突現象から解明する星形成が起きるための物理条件
Project/Area Number |
22KJ0509
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 郁弥 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 星形成 / 銀河 / 分子雲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近傍銀河を対象に、分子雲衝突によって星形成が誘発(抑制)されるための物理 条件を解明することである。本年度は近傍銀河の分子雲衝突に関連して以下の2つの研究を行った。
1. 近傍棒渦巻銀河NGC3627を対象とした研究:円盤銀河の星形成効率は、銀河内部の構造に依存し、特にBarでは低く、Bar-end(BarとArmの結合部)では高い。近年では、内部構造が分子雲衝突の性質に影響を与えている説が唱えられている。さらに、分子雲衝突による星形成シナリオでは、星形成は分子雲の衝突速度が大きいほど、また分子雲の面密度が小さいほど星形成が誘起されにくい。そこで、近傍棒渦巻銀河NGC3627を対象に、分子雲の衝突速度、面密度、星形成効率の関係が銀河の内部構造にどのように依存しているか調査した。結果として、分子雲衝突による星形成効率は衝突速度が大きいほどまた分子雲の面密度が小さいほど小さくなる傾向が明らかになった。さらに、BarとBar-endを比べるとBarのほうが衝突速度が大きく面密度が低いため、星形成効率が低いことがわかった。
2. 衝突銀河アンテナ銀河を対象とした研究:分子雲衝突の性質を円盤銀河だけではない様々な環境においても調べるため、京都大学との共同研究として、1. の研究と同じ手法を、近傍の衝突銀河アンテナ銀河に適用した。円盤銀河と違い、衝突銀河は銀河同士が100 km/sを超える速度で衝突しており、円盤銀河では知ることのできない非常に激しい分子雲衝突の性質を調べることができる。調査した結果、衝突速度は100 km/s前後と非常に大きいが、1.と同様に、分子雲衝突による星形成効率は衝突速度が大きいほどまた分子雲の面密度が小さいほど小さくなる傾向が見られた。以上から、分子雲衝突による星形成の性質が環境が異なれど、定性的に同じであることが示唆された。
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[Presentation] 潮汐矮小銀河の分子ガスの性質 12023
Author(s)
前田 郁弥, 江草芙実, 河野孝太郎, 辻田旭慶, 井上修平, 廿日出文洋, 太田耕 司, 浅田喜久, 井上真, 濤崎智佳, 小麥真也, 金子紘之, 藤本裕輔, 羽部朝男, 小林将人
Organizer
日本天文学会2023年春季年会
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