2023 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病を効果的に改善するための運動強度と分岐鎖アミノ酸摂取方法の解明
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22KJ0511
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
竹村 藍 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 2型糖尿病 / α-ケトグルタル酸 / トレッドミル運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、糖尿病において分岐鎖アミノ酸 (BCAA) の分解能力が低下し、血中の分岐鎖アミノ酸濃度が高値を示すことが明らかになっている。これまでにBCAAの分解に関わるαケトグルタル酸 (AKG) の摂取が、2型糖尿病の高血糖状態を改善することを明らかにした。運動がBCAAの分解に関わることから、AKGと運動を組み合わせることで、BCAAの代謝がより高まるのではないかと考えた。 2型糖尿病モデル動物のdb/dbマウスを使用した。コントロール (CON) 群、糖尿病+運動 (DM+Ex) 群、糖尿病+AKG (DM+AKG) 群、糖尿病+運動+AKG (DM+Ex+AKG)群の4群に分けて実験を行った。DM+Ex群とDM+AKG+Ex群は、トレッドミルで8週間にわたって週に5回、10m/min速度で40分間運動を行わせた。また、DM+AKG群とDM+Ex+AKG群には1%AKG溶液を飲水として自由摂取させ、糖尿病に対してAKGと運動が及ぼす影響を検討した。 空腹時インスリン値、空腹時血糖値、および、経口糖負荷テストの曲線下面積において、4群間で有意な差は認められなかった。足底筋重量 (%体重) には運動の主効果が認められ、運動群で高い値を示したがAKGの摂取による有意な変化は認められなかった。また、DM群に対してDM+Ex群とDM+Ex+AKG群の精巣上体脂肪量 (%体重) は有意に低値を示したが、AKGの摂取による変化は認められなかった。 これらのことから、2型糖尿病において運動による骨格筋量の増加や脂肪量の減少といった身体組成への変化が認められた。一方で、運動とAKGの摂取のいずれも高血糖状態に対しては影響を及ぼさなかった。糖尿病の誘発メカニズムの違いがAKGの摂取による糖尿病の抑制効果の違いをもたらしている可能性があり、今後の研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、2型糖尿病動物を使用して分岐鎖アミノ酸の代謝に関わるα-ケトグルタル酸、および運動介入による骨格筋の適応や糖・脂質代謝への影響を明らかにすることができた。今後の研究でこれらの適応の詳細なメカニズムを速やかに明らかにするための準備が進行しており、研究は問題なく順調に進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度には、2型糖尿病におけるα-ケトグルタル酸、および運動介入による骨格筋の適応や糖・脂質代謝への影響の詳細なメカニズムを明らかにする。主にウェスタンブロッティング法を用いて骨格筋の糖代謝・合成・分解に関するタンパク質の定量を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度に出産のために3ヶ月間の研究中断を行なった。そのため、研究の実施時期が2024年度6月末までとなり、次年度使用額が生じた。
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