2023 Fiscal Year Annual Research Report
胃腸炎ウイルスの進化と気象条件の多様性に基づいた水処理介入効果の評価手法の確立
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22KJ0515
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
門屋 俊祐 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 水系感染症ウイルス / 集団遺伝学 / ビッグデータ解析 / バイオインフォマティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
水系感染症ウイルスによる感染被害は未だに世界中で頻発している。この原因の一端を解明するために、本研究ではウイルス集団遺伝学的観点及び地理的な多様性という視点から求めた。本年度は、昨年度に引き続き、データベースに登録されている世界各国の水系感染症ウイルスの遺伝子配列を用いてバイオインフォマティクス解析を行った。 ロタウイルスA群に関しては、北アメリカ大陸およびアフリカ大陸において検出された配列を対象に解析を行ったところ、遺伝的多様度の高さは同義置換により説明される一方で、非同義変異は2000年から2010年以降まで低頻度で推移していた。平衡選択を検出するTajima’s Dを推定したところ、集団中に含まれる非同義変異は概ね中立、あるいはわずかに有害であることが示唆された。ノロウイルスGIIに関しては、構造タンパク質をコードするORF2及びORF3の多様度において比較的高い傾向が示された。ORF2に関してはオーストラリアにおいて高かったが、これはオーストラリアにおいて取得された配列は全て下水由来であるため、下水集水域内の全ての感染者のノロウイルス配列の一部が下水中に集積されたためと考えられる。一方、アメリカやカナダの配列は患者糞便由来であり、塩基多様度のばらつきが大きかった。つまり、地域間のウイルスの集団遺伝学的プロファイルを調査するためには、潜在的な感染者由来のウイルスも含む下水から取得された配列が適していると考えられる。非同義/同義多様度を比較したところ、ORF1やORF2は強い選択圧を受けた痕跡が示され、Tajima’s Dの検定によりノロウイルス集団に出現する変異の多くはわずかに有害であるが中立よりであった。以上の結果から、ノロウイルス及びロタウイルスは互いに類似したメカニズムにより集団構造を変化させる可能性が示された。
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Research Products
(3 results)