2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21J00566
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野 雅弥 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | C.elegans / アワヨトウ / 線虫 / 昆虫 / 血球 / 包囲化 / レクチン / PAMPs |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫は侵入した異物を血球によって囲い込むことで無害化する(包囲化)。液体クロマトグラフィーのカラムの充填剤として使われるクロマトビーズをチョウ目のアワヨトウ幼虫に注射すると、血球はビーズを異物とみなし包囲化した。ビーズ(ポリスチレンビーズ・ニッケルアガロースビーズ)と線虫(C. elegans)に対する包囲化を比較したところ、ビーズに対して血球は30分以内付着したが、線虫に対しては、付着までに4、5時間程度かかった。生物と非生物は異なる過程を経て包囲化されている可能性が高い。線虫とビーズの注射によって発現が変動する免疫関連遺伝子を網羅的に分析するため、C. elegansとポリスチレンビーズを注射したアワヨトウ幼虫の血球と体液を用いて、RNA-seq解析を行った。現在シーケンスが終了し、データを解析中である。 RNA-seq解析において、当初はモデル生物のカイコを用いる予定であったが、カイコはC. elegansを包囲化できなかった。さらに、カイコの体内で線虫は増殖した。この結果は自身のハチノスツヅリガ幼虫を用いて行った実験と同様の結果であった。また、オオタバコガ幼虫も供試したが、線虫に対する包囲化能力はアワヨトウと比較して低かった。このように昆虫種によって線虫に対する免疫が発達していない種が存在すると考えられる。今後は、複数の昆虫種を用いてRNA-seqを行い、分子生物学的な手法も交えて、種によってこのような差異が生じる要因を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
受け入れ指導教員の異動に伴い、自身も研究場所を移動することとなった。実験に関わる設備などを一からセッティングする必要があり、予定通りに完了させることが難しかった。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA-seq解析の結果から線虫の包囲化に関与する遺伝子を絞り込み、RNAiによってその遺伝子をノックダウンしたアワヨトウを作成し、線虫の包囲化に影響があるか調べる。
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