2021 Fiscal Year Annual Research Report
Social cues that scaffold formation and differentiation of word meanings in early language development
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21J00750
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 広道 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 乳幼児 / 言語発達 / 出来事 / 名詞 / 分化 / 親子遊び / インタラクション / オンライン実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度には,0~2歳児とその保護者およそ90組を対象にした「親子遊び調査」を実施した。ポテトマッシャーなど,特定の用途をもつ物品を使って親子で普段通りに遊んでもらい,その際の親子インタラクションの音声・映像データを収集した。特に映像データについては,3人称カメラ3台と1人称カメラ2台 (母子それぞれ1台) の計5台を用いたため,さまざまな観点からの分析が可能なデータセットを得たことになる。また,この調査で利用した物品や映像刺激を用いて,新奇語学習課題を作成し,次年度に調査を実施する計画である。 親子遊び調査については,親子遊びの中で母親が使っていた名詞・動詞ラベルについて,子どもがどのように理解しているかの調査データや,調査時及びその半年後の子どもの語彙質問紙データについても併せて収集している。これらのデータについて,翌年度以降に順次分析を進めていく予定である。 また,2021年11月~2022年1月の3ヶ月間,アイルランドTrinity College Dublinを訪問し,オンライン乳幼児研究についての研究に従事した。具体的には,実験室実験のときにはあまり生じない,オンライン実験に特有の環境要因のうち,どの要因がwebカメラで得られるデータの質に影響するかを調べるための探索的研究を行なった。ダブリンと東京各30名,計60名の大人に調査に参加してもらい,環境要因を操作しながら課題に取り組んでもらうことで,系統的にノイズを含んだデータセットを作成した。このデータセットを用いた分析と論文化を翌年度には進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度当初の計画では,1歳児及びその保護者を対象にした親子遊び調査を実施する予定だった。しかし,発達的な変化がより明確になるよう,0歳後半,1歳半,2歳前半の3つのグループにわたって調査を実施するように計画を修正し,結果として90組ほどのデータを収集することに成功した。その際,5台のカメラを用いた多視点での映像データを得られたことにより,従来の調査に見られるような死角がほぼないデータセットを得ることができたとともに,子どもや母親の1人称視点での視野がどのようになっているかのデータも得ることができた。このような親子遊び場面のデータセット構築は,米国等の研究チームが先駆けて取り組んできたが,日本ではなされておらず,その点で貴重なデータセットになったと考えている。 また,オンライン実験における方法論的な問題点を克服するべく,Trinity College Dublin (アイルランド) との共同研究を実施できたことも大きな成果である。既にダブリンと東京にてデータ収集が完了しているため,次年度すぐに解析と論文化を進めることができる。 COVID-19によるパンデミックの状況下にもかかわらず,計画以上の調査データを収集し,さらに国際共同研究にも繋げることができた。以上の理由より,当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,前年度に収集したデータのアノテーション及び分析を進めるとともに,前年度に考案した新奇語学習課題を用いて新たにデータ収集を行なう。新奇語学習課題では,名詞か動詞かの区別がつきにくい曖昧な状況において,子どもが新奇語をどのような意味として理解するのか,また,その理解の仕方が発達に伴ってどのように変化するのかを調査する。対面実験のみならず,オンライン実験としても調査を実施する予定であり,後者の実装を進める中で,海外でのデータ収集に向けた準備も進めていく計画である。仮説としては,前言語期にはもっぱら,新奇ラベルは<モノ>と<行為>とが未分化な意味に対応しており,2歳に近づくにつれて,曖昧な状況では新奇ラベルを<モノ>を意味する語として理解するようになっていくのではないかと予想している。得られたデータをもとに,次の段階としては,いずれかの社会的手がかりを強調しながら新奇語を教える課題を作成し,どの社会的手がかりが,どのような種類の語を学習する際に,どの発達時期において貢献を果たすのかを明らかにするべく実験課題を作成する予定である。 また,オンライン実験に関しては,前年度に実施したTrinity College Dublin (アイルランド) との共同研究を論文化する。オンライン実験において,データの質を阻害する要因を探索するとともに,それらの要因を極力統制するための短いインストラクションモジュールを作成し,その効果検証を進めていく。 2022年9月~2023年1月には,Warwick大学 (英国) の研究室を訪問する予定であり,これまでに収集したデータのうち,特にジェスチャーやオノマトペの使用に関する解析や解釈について指導・助言を受ける。限られた滞在期間で効率よくデータ収集できるように,オンラインミーティングにて事前に詳細を詰めておく。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] 「Kotobooコミックス」プロジ ェクト:言語発達研究と養育・保育・教育者を繋ぐ新しいウェブメディア2021
Author(s)
Sander-Montant, A., Tatsumi, Y., Hagihara, H., Barbir, M., Bouchon, C., Crimon, C., Daoud, C., Hauser, C., Iritani, C., Kouno, M., Loukatou, G., Lovcevic, I., Scaff, C., Tsuji, S.
Organizer
日本赤ちゃん学会第 21回学術集会
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