2023 Fiscal Year Annual Research Report
オーキシン流入担体AUX/LAXの機能構造解析によるオーキシン輸送機構の解明
Project/Area Number |
22KJ0564
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩野 達也 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 構造解析 / 植物ホルモン / 膜タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、植物の生育において重要な役割を果たす植物ホルモンオーキシンの細胞内への流入を担う膜タンパク質AUX/LAXの立体構造解析を行い、オーキシン輸送メカニズムの詳細を明らかにすることを目的とした。 前年度までで試料調製条件やグリッド作製条件の確立に成功したダイズ由来LAX9について、十分な粒子像の観測できるクライオ電子顕微鏡像の取得に成功した。この撮影データを用いて単粒子解析を試みたところ、十分な量の粒子像の抽出および粒子の二次元平均化像の収束が確認できた。収束した二次元平均化像のクラスに分類された粒子から三次元密度マップへの再構成を試み、ホモログタンパク質と同様の全体構造を示す低分解能の三次元密度マップを得ることに成功した。しかしながら、得られた低分解能マップは膜外領域が乏しいうえに分子量の小さな単量体で存在しているという膜タンパク質の単粒子解析を困難なものにする特徴を有していることが予想され、実際に解析におけるパラメータの検討を行ったものの最終的にダイズ由来LAX9について解釈可能な高分解能の三次元密度マップを得ることはできなかった。 このように比較的分子量が小さく膜外領域に乏しい膜タンパク質の構造解析について、膜タンパク質を人工的な脂質二重層に再構成するという脂質ナノディスク法を用いた研究例が近年多く報告されている。本研究においてダイズ由来LAX9およびより知見の多い代表的なホモログであるシロイヌナズナ由来AUX1について脂質ナノディスクへの再構成系の確立に成功した。さらに脂質ナノディスクに再構成したこれらのタンパク質についての単粒子解析を試みたが、グリッド作製時の試料濃度が低く十分な粒子の像が得られるようなグリッドは得られなかった。 研究機関全体を通してAUX/LAXの構造決定には至らなかったものの、試料調製法の確立などAUX/LAXの構造解析の基礎を構築した。
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