2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21J20720
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
趙 元晟 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ガラス転移 / 水素結合 / 局所構造 / X線散乱 / 中性子散乱 / 分子動力学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の低温高圧下の放射光X線散乱実験(BL37XU, SPring-8)は圧力がかかりにくい問題が発生しまいました。今度は、最初からより高い圧力で実験しました。その結果、トルエン(235-300 K, 0.4 GPa)とグリセロール(225-300 K, 0.4/0.9 GPa)の低温高圧下のX線散乱実験に初めて成功しました。高圧力下で、両方とも、構造は温度依存性がほとんどないことが分かりましてた。さらに、BL04B2でグリセロールの大気圧の構造因子をTgの180 Kまで測定し、トルエンと違って、こちらは低圧でも、構造は温度依存性が殆どありません。 X線は、グリセロールで重要な水素結合が直接見えない欠点があるため、JPARCの高圧回折ビームラインのPLANETで重水素化グリセロールの中性子構造因子を4.5 GPaまでの測定に成功しました。X線と同様、高圧力下で、第一ピークが小さくなり、第二ピークが大きくなることが分かりました。比較のため、重水素化エチレングリコールとメタノールの低温または高圧の中性子構造因子も測りました、エチレングリコールはグリセロールと似ていて、メタノールは異なる振る舞い(第一ピークが高くなる)がある結果になりました。 解析の方で計算では、Data Assimilationと言う、実験データを使って、高速、高信頼度に緩和時間が長いガラス状態の構造シミュレーション方を開発しました。小分子系専用のNeural Network Potential - Data Assimilationシミュレーションのプログラムも書きまして、現在は三つのサンプルの詳しい構造シミュレーションを行っています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
a トルエンとグリセロールの低温且つ高圧で放射光散乱実験に成功しました。 b グリセロール、エチレングリコール、メタノールの低温または高圧の中性子散乱実験に成功しました。 c ガラス状態の長い緩和時間を乗り越えるシミュレーション法を開発しました。 d トルエンは実験データからフィットしたポテンシャルで詳しい構造解析に成功しました。他のサンプルカップの解析が進めています。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は追加実験で、低温または高圧のエチレングリコール、メタノールの放射光X線散乱実験を予定しています。両課題とも、Spring-8で採択されており、低温実験はBL04B2で4月、高圧実験はBL37XUで5月実施予定です。指導教員の他に、愛媛大の河野義生氏が共同参加しています。彼は高圧力実験の専門家で、実験の指導と一部実験部品を提供します。実験手法は前と殆ど同じで、成功する見込みです。 解析の方で、前のグリセロールと同じく機械学習ポテンシャルでの分子動力学シミュレーション、更に放射光X線と中性子の構造因子より構造最適化で詳しく構造を解析します。三つの水素結合の液体、ガラス及びFragile液体であるトルエンの局所構造を比較、議論する予定です。
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