2023 Fiscal Year Annual Research Report
高次元共形場理論の実時間解析に基づく、双対な量子重力理論のダイナミクスの解明
Project/Area Number |
22KJ0584
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥山 義隆 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 特殊関数 / 共形場理論 / 臨界現象 / AdS/CFT対応 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題名にもある通り、AdS/CFT対応において量子重力理論の時間依存ダイナミクスは双対な実時間での共形場理論を通じて理解される。また、実時間での理論を考えることによって、理論の因果律や内積などの正定値性から量子重力理論のダイナミクスに制限を加えることもできる。以上の点から、量子重力理論を解明するためには、実時間形式の共形場理論の理解は肝要になる。
我々は究極的には我々の住む四次元時空の量子重力理論に対応する三次元の共形場理論に興味がある。本年度、我々はその足がかりとして、さまざまな物理量の解析が容易になる低次元の共形場理論を中心に調べた。残念ながら特別研究員としての採用期間中に、物理的に新しい結果を得ることは叶わなかった。しかしながら、最終年度には研究の副産物として一次元の大域的共形対称性だけを持つ共形場理論の三点相関関数のFourier変換を二通りの方法で評価することにより、合流型超幾何関数の新しい恒等式を複数発見することに成功した。この数学の結果を一編の論文にまとめ、数学の論文誌”Journal of Approximation Theory”にて出版した。
また本研究課題期間中には、境界や不純物などの”欠陥”がある場合の臨界現象を記述する欠陥付きの共形場理論に関する研究や、ブラックホールの情報損失問題に関する研究など、主となる課題以外にも比較的広範なトピックに関する研究を行なった。前者に関しては、欠陥がある場合の共形場理論の相関関数と、欠陥がない場合の共形場理論の相関関数の間の単純な対応関係について指摘し、さらには線欠陥や境界がある場合のO(N)模型の臨界現象について、従来とは異なる共形対称性を保つような摂動計算を使った解析を行なった。後者に関しては、エンタングルメント比熱と呼ばれる情報量の観点から、トイ模型を使ってブラックホールの情報損失問題を調べた。
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