2021 Fiscal Year Annual Research Report
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21J21339
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
顧 嘉晨 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 遺民 / 明末清初 / アイデンティティー / 華夷思想 / 東アジア / 東洋史 / 思想史 / 南明史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、思想継承の媒介として中国史上の「遺民」を研究するものである。研究者は初年度においては、主に遺民思想家王夫之の事例を中心に研究を進めた。具体的な研究内容、進行状況および研究実績は以下の通りである。 (1)王夫之の遺民像に関する研究:研究者は、中国社会文化学会2021年度大会において発表を行った。発表は、思想史的な角度から、明末清初の歴史背景や王夫之本人の著作などに基づき、「中華の遺民」と「明の遺民」をめぐって、王夫之の遺民像を考察するものである。また、発表の内容をもとに改稿した論文は中国社会文化学会の学会誌『中国―社会と文化』に投稿する予定である。 (2)『船山遺書』に関する調査、整理:今年度は、日本、とりわけ東京の主な大学図書館と蔵書機関(東京大学、東洋文庫、国立国会図書館など)に所蔵されている王夫之の著作である『船山遺書』を調査し、『船山遺書』の版本目録について出来る限り整理した。その調査、整理結果に基づき、文献学的な分析を行い、史料研究論文「『船山遺書』の版本目録についての再考察―日本所蔵資料を手掛かりに」としてまとめた。加えて、論文が雑誌『人文×社会』(東京大学人文社会系研究科・文学部の院生・学部生を中心とする研究雑誌)に掲載された。 (3)日本思想史、漢学に関する考察:今後は、さらに「遺民」に関する議論を多角的に進めるために、本年度から日本思想史、漢学に関する研究内容を考察する作業も行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は本研究の初年度であったため、「遺民」に関する先行研究を把握、整理することが最も重要であると思われた。これについては既に着実に成果が上がりつつある。これまでのところ、特に大きな問題もなく研究を遂行してきている。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大により、本年度予定していた海外調査が実施不可能となり、中国思想との関係がかなり深い本研究にとって、漢籍の調査進捗も遅れてしまったことも否めない。その点に関しては研究計画の一部に遅延が生じているものの、全体として本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究を踏まえて、今後は、「遺民」について多角的に検討して研究を進める予定である。そして、令和4年度は本研究計画の2年目となるため、その研究成果の一部を発表していくことに重点が置かれることになる。加えて、研究者の研究分野は、一次漢籍史料の収集、分析と十分な研究がなされていない調査地でのフィールドワークが不可欠である。そのための各地での研究活動は、本研究の成否を左右する最も重要な活動となる。特に、研究テーマたる「遺民」に関わる史料はかなり膨大であるとはいえ、まず関連する史料をさらに網羅的に集め、通読しなければいけない。しかし、海外における漢籍の現地調査と研究について、今年度の前半は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、なお海外調査が制限されると見て、今年度の後半に実施を延期あるいは実施方法の変更を検討する。今年度の後半に、海外調査が可能となった場合は、漢籍の現地調査及び現地研究者との交流を実行する。
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