2021 Fiscal Year Annual Research Report
視聴触覚間のクロスモーダル効果を用いた多様な風感覚提示手法の研究
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21J21363
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊東 健一 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | クロスモーダル / バーチャルリアリティ / 風覚ディスプレイ / 触覚ディスプレイ / 触覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,複数の感覚の相互作用により知覚が変化するクロスモーダル効果を利用して,風覚ディスプレイによる風表現を拡張することを目的とする.具体的には,風向・風速・風温といった風の要素を,物理的刺激とは違うように知覚させる手法の解明を目指している. 初年度となる本年度は,視覚・聴覚情報提示中の風知覚を検証するためのバーチャルリアリティ(VR)と送風装置を用いた研究環境を構築し,予備的な実験を開始した. また,年度中に論文誌への発表1件,国際学会への発表2件,国内学会への発表1件,ニュース記事掲載やテレビ番組出演3件を行った.日本バーチャルリアリティ学会論文誌に掲載された「視聴触覚間のクロスモーダル効果による風向知覚操作」では,風向を示唆する視聴覚刺激の提示による風向知覚の変化について,改善した手法による結果の分析を報告した.結果として,視覚および聴覚の刺激を両方提示することで,前後2台の固定されたファンのみで最大34.8°風向を錯覚することが示された.本研究の成果は,少数の風提示装置により全周囲からの風を提示する風覚ディスプレイの実現に有用であると考えられる. このほか,温度・振動・映像・音声のクロスモーダル効果を用いて送風なしで風の存在を知覚させる"VWind"をSIGGRAPH Asia 2021 Emerging Technologiesにて,振動刺激を時間的に逆転させて提示することで逆再生映像の違和感を低減させる触覚逆再生をWorld haptics Conference 2021にて学会発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,視聴触覚間のクロスモーダル効果による風知覚への影響検証に必要な研究環境を構築し,予備的検証を行うことが可能となった.また,クロスモーダル効果による風向知覚の変化に関する実験結果をまとめ,雑誌論文として報告した.従って,研究が順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,本年度構築した実験環境を用いて,風速・風温・風の印象といった風に関する知覚がクロスモーダル効果によってどのように変化するのかを明らかにする. 申請時に対象とした風速知覚,風温知覚のうち,西牧ら[1]によって視覚刺激により風速を実際より遅く知覚させられることが明らかになっている.他方で,風速を実際より速く知覚させることや,風温の変化を知覚させることが可能かどうかは解明されていない.さまざまな視覚・聴覚提示に着目し,参加者を募っての実験を通じて風知覚の変化を測定する. [1]: 西牧 侑哉 ほか, VR環境下での風の強さ知覚における視触覚統合, 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, 2021, 26 巻, 1 号, p. 14-21.
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Research Products
(4 results)