2021 Fiscal Year Annual Research Report
光スイッチング型ラマンプローブによる多重超解像イメージングの実現
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21J21396
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤岡 礼任 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ラマンプローブ / 光スイッチング / 超解像イメージング / 多重検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化合物の吸収特性に基づいてepr効果の有無によって検出感度が変化することを利用し、光によってラマン信号のoff/onがスイッチングされる光スイッチング型ラマンプローブの開発を行う。さらに、ラマンタグの同位体置換によって異なるラマンシフト値で分離検出可能な複数のラマンプローブを開発し、RESOLFTと同様の原理を用いることで多重超解像イメージングを行うことを目標とする。 当該年度においては、実際に光スイッチング機能を有するラマンプローブDAE630の合成に成功し、プローブがin vitroおよびin celluloで光照射によってラマン信号をoff/on可能な特性を有していることを示した。また、ラマンタグであるCN基に同位体置換を施すことでsilent regionにおけるラマンシフト値を変化させた4種類の誘導体の開発に成功し、これら4種類の誘導体の信号を同時に分離検出可能であることを示した。さらに、ミトコンドリア標的リガンドを導入したプローブDAE630-Mitoによってミトコンドリアを可視化することにも成功した。開発した一連の誘導体は、ラマンタグであるCN基の信号が検出されるsilent regionと比べて、C=C結合などの振動が検出されるfingerprint regionにおいて特に高いS/N比でラマン信号をスイッチング可能であることが見出されたため、本プローブによってfingerprint regionの信号を利用した超解像イメージングが可能か検討を進めている。他に、ラマンプローブの組織応用に向けて生体組織のイメージングにも応用可能な酵素活性検出型ラマンプローブの開発にも着手しており、集積性の高い色素母核を用いたプローブを用いることで、生体組織においても標的酵素発現領域を染め分けることが可能なラマンプローブの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光スイッチング機能を有するラマンプローブのパイロット化合物となるDAE630の合成に成功し、実際にそのラマン信号を光照射によってoff/on可能であることを示した。さらに、DAE630を誘導体展開することで、異なるラマンシフト値で検出可能な4種類のラマンプローブ、ミトコンドリアを標的可能なDAE630-Mitoの開発に成功した。開発した誘導体はfingerprint regionにおいて高いS/N比で信号検出可能であったため、これを用いて超解像イメージングの検討を行っており、光スイッチング機能を有するラマンプローブによる超解像イメージングに向けて十分な進展があったと考えられる。一方で、当初期待していた、多重検出に有利なsilent regionにおけるS/N比はfingerprint regionにおけるそれよりも劣っており、多重検出に資するラマンプローブ開発に向けては更なる誘導体展開を行っていく必要があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したDAE630およびDAE630-Mitoを用いて、fingerprint regionでの信号のスイッチングによって超解像イメージングが可能か検討を行う。さらに、多重検出に資するラマンプローブ開発に向けて、silent regionでより大きなactivationをかけることが可能なプローブの探索を行う。
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