2023 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語の不定詞補部の統語構造-形態音韻、意味とのインターフェースからの考察
Project/Area Number |
22KJ0651
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高畑 明里 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ドイツ語 / 統語論 / 複雑述語 / 不定詞句 / モダリティ / 項構造 / 受動文 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度から継続して主に以下の研究を行った。 (1)ドイツ語のsein (英:be)+ zu(英:to)不定詞構文のモダリティと項構造の関係 (2)ドイツ語のbleiben(英:stay/remain) + zu不定詞構文の分析 前年度と同様に、ドイツ語の複合動詞的な性質を持つ不定詞構造の例としてsein + zu不定詞構文とそれに関連する構文の研究を行った。(1)では、sein + zu不定詞構文において現れるvon前置詞句(von-PP)とfuer前置詞句(fuer-PP)について、後者は構文が可能のモダリティを表す場合にのみ現れることから、前者は不定詞の動作主項であるのに対し、後者は可能のモダリティ要素によって導入される経験者項であると主張した(高畑 2023)。(2)については、sein + zu不定詞構文と多くの点で同じ性質を示すbleiben+ zu不定詞構文を、bleibenの表す意味に基づいて3つのタイプに分類することで、両構文の違いとbleibenの意味的・統語的貢献を明らかにした(Takahata & Mori 2023)。研究期間全体の中での位置づけとしては、(1)の研究によってドイツ語のvP領域の構造と外項の実現についての考察を深め、複雑述語の統語構造を考えるうえでの基盤を作ることができた。また、(2)の研究では昨年度課題としていたbleibenの機能性・語彙性を、bleibenのタイプごとに考察した。発表段階では経験的データと理論的分析の両面で課題が残り、明確に結論を示すことはできなかったが、今後研究を進め、不定詞句を支配する動詞の語彙性・機能性に関するより大きな議論につなげたいと考えている。
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Research Products
(2 results)