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2022 Fiscal Year Annual Research Report

マイクログリアによるネットワーク形成機構とその意義の解明

Research Project

Project/Area Number 21J22213
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

大柿 安里  東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2021-04-28 – 2024-03-31
Keywordsマイクログリア / 細胞間相互作用 / 細胞外小胞 / オリゴデンドロサイト / micro RNA
Outline of Annual Research Achievements

脳内の主要な免疫細胞であるマイクログリアは周囲環境の監視・探索によって炎症発生などの環境変化を敏感に感知する細胞である。これまでに、マイクログリアは離れた細胞に拡散性のサイトカインを放出することで情報が伝達されることが知られている (Hanisch, Glia, 2002)。さらに近年、α-synucleinを処置したマイクログリア間で直接突起が連結構造を形成することで物質の受け渡しなどの情報伝達が生じることも報告されてきた (Scheiblich et al., Cell, 2021)。しかし、このようなマイクログリアの情報伝達形態に関して、どのようにして形成されるのか、あるいはどんな情報が伝達されるのかということを包括的に検討した研究は存在しない。そこで本研究では、マイクログリアの情報伝達機構の形成メカニズムと機能的意義の解明を目指している。本研究では、マイクログリアの情報伝達を誘導・実現するものとしてそれぞれ、マイクログリアに取り込まれる、あるいはマイクログリアから放出される細胞外小胞に着目した。
まず、マイクログリアを情報伝達可能な状態への変遷を誘導するものとして、オリゴデンドロサイトの細胞外小胞に着目した。これまでに、オリゴデンドロサイト由来の細胞外小胞は、膜表面のホスファチジルセリンを介して、マイクログリアに特異的に送達されることが知られている。前年度までに立ち上げたマウスオリゴデンドロサイトの初代培養から単離した細胞外小胞の内容物 (特にmicro RNARNA) の解析を行った。今後は、マイクログリアの状態変化を誘導するmiRNAを特定する予定である。さらに、今後はマイクログリアの状態変化を誘導する生理的条件をin vivoでも検討するため、オリゴデンドロサイト由来の細胞外小胞のみが緑色蛍光タンパクを発現するマウスの作出を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究当初は、マイクログリア間の情報伝達形式として、突起連結構造によるものを想定し、この構造を形成誘導する条件を検討していた。蛍光α-synucleinやアミロイドβ、ナノシリカ粒子などの蛍光物質を用いて評価したところ、形成するものの、形成確率が著しく低く、定量的な評価が困難であった。一方、これらの蛍光物質を含んだ細胞外小胞の伝播 (放出と取り込み)は高頻度で確認された。そのため、情報伝達形式として細胞外小胞に着目することとした。
この細胞外小胞を放出するマイクログリアの状態遷移を誘導するものとして、オリゴデンドロサイト由来の細胞外小胞に着目した。なぜなら、すべてのマイクログリアが細胞外小胞を放出するわけではなく、ヘテロ性があること、さらにそのヘテロ性を実現するためには細胞外小胞などの特異的な調節が必要になると考えたためである。オリゴデンドロサイト由来の細胞外小胞は、膜表面のホスファチジルセリンを介してマイクログリアに取り込まれることが知られている。
前年度までに立ち上げた、マウスのオリゴデンドロサイトの初代培養から細胞外小胞の単離を行い、内容物 (micro RNA) の解析に耐えうる純度の精製に成功し、さらにmicro RNAアレイを行い、網羅的解析を行うことができた。また、今後の研究のため、in vivoでオリゴデンドロサイト由来の細胞外小胞が特異的に緑色蛍光タンパク質を発現する遺伝子組換えマウスの作出に成功した。そのため、ここまでの実験計画はおおむね順調である。

Strategy for Future Research Activity

今後は、発達期におけるミエリン形成における、細胞外小胞を介したマイクログリアによる情報伝達に着目する。今年度までに、神経細胞とオリゴデンドロサイトの共培養を立ち上げた。さらに、今年度に作出した、オリゴデンドロサイト由来の細胞外小胞が緑色蛍光タンパク質を発現するマウスを用いることで、発達期におけるオリゴデンドロサイト由来の細胞外小胞の内容物の解析を行うことができる。
これと並行して、ここまで行ってきた、マイクログリアの状態遷移を誘導する、オリゴデンドロサイト由来の細胞外小胞に含まれるmicro RNAの特定を行う。今年度行ったmicro RNAアレイから候補を絞り、実際に候補micro RNAを含んだ細胞外小胞をマイクログリアもに取り込ませることで、その妥当性を検討する。ここで特定されたmicro RNAが、発達期のミエリン形成時のオリゴデンドロサイト由来細胞外小胞に含まれるかどうかを検討する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Replacement of Mouse Microglia With Human Induced Pluripotent Stem Cell (hiPSC)-Derived Microglia in Mouse Organotypic Slice Cultures2022

    • Author(s)
      Ogaki Ari、Ikegaya Yuji、Koyama Ryuta
    • Journal Title

      Frontiers in Cellular Neuroscience

      Volume: 16 Pages: -

    • DOI

      10.3389/fncel.2022.918442

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 生体外微小物質に対する脳内免疫機構2022

    • Author(s)
      大柿安里、池谷裕二、小山隆太
    • Organizer
      第45回日本神経科学大会
  • [Presentation] 生体外物質に対する脳内免疫機構の解明2022

    • Author(s)
      大柿安里、池谷裕二、小山隆太
    • Organizer
      第4回グリアデコード領域会議

URL: 

Published: 2023-12-25  

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