2022 Fiscal Year Annual Research Report
アリル位C(sp3)-H結合活性化によるアルデヒドの直接的アリル化反応
Project/Area Number |
21J22277
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田辺 駿 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ベダキリン / 抗結核薬 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画していた、可視光レドックス触媒/水素原子移動触媒/遷移金属触媒の三成分ハイブリッド触媒系によるアルケンのアリル位C(sp3)-H結合から直接的なアルデヒドの触媒的アリル化反応は既に開発したため、本研究の次なる展開として、本反応の水素原子移動触媒に置換基を導入して構造展開することで、アルケンのもつ複数のアリル位C(sp3)-H結合間の違いを認識し、その位置選択性を制御する触媒の開発を試みていた。しかしながら、選択性を発現させることができなかったため検討を終了した。 一方で、カルボニル化合物の不斉アリル化反応は、二連続の不斉炭素中心を一挙に構築できる有機合成において有用な反応である。当初の計画を変更し、これまでの研究において培ってきたこれら反応の知見をもとに、新たな研究プロジェクトとして抗結核薬ベダキリンの全合成研究に着手することとした。結核は現在でも世界的に深刻な感染症であり、特に多剤耐性菌の出現が問題となっている。ベダキリンは超多剤耐性結核菌に対しても有効な抗結核薬として承認されている医薬品であるが、連続四級-三級不斉炭素中心を有する合成難度の高い分子であり、構造展開などを見据えた新たな合成法の確立が望まれる。申請者は、ベダキリンを合成する上で課題となる連続四級-三級不斉炭素中心を高立体選択性にて一挙に構築しつつ、ルート全体の工程数を短縮できる新規合成ルートを考案し、これを確立すべく現在検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は、これまでに合成難度の高い分子であるベダキリンの新規合成ルートを考案し、現在、検討を進めているところである。検討において、ラセミ合成ではあるが、カギとなる反応によって連続した不斉炭素中心をもつ重要中間体を合成することに成功している。よって順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、当初考案した合成ルートの通りに研究を進めることができているため、今後もこれに従って合成ルートの確立を目指す。まずはラセミ合成によって合成を達成し、その後、不斉合成の検討を行う予定である。
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