2021 Fiscal Year Annual Research Report
A Novel Lightweight Design and Manufacturing Method for Aircraft Wings
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21J22284
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河邉 拓樹 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 補強外板構造 / バイオミメティクス / トポロジー最適化 / 構造最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の航空機構造設計では, 設計者が過去の経験や実績、他機例を参考に決定する構造線図に従って各部材の強度計算を行うため、新たな構造様式が生み出されにくい。また、今後は3Dプリンタのような自動製造技術がモノづくりの主流となることが予想されるが、対応する設計技術は確立されていない。そこで本研究では、バイオミメティクスに立脚した革新的な構造設計手法によって、従来の設計手法からの脱却を図り、現行の複合材機体に対して大幅な軽量化を実現する設計・製造基盤の構築を目的としている。 本年度では、最も卓越した飛翔能力を有する昆虫の一種として知られ、その翅は独特な翅脈の配置から軽量性・強度・柔軟性・剛性という性質に対して優れた特徴を併せ持つトンボの翅に着目した。トンボの翅脈配置に見られる特徴を抽出し、評価対象となる航空機主翼構造に適用することで生物学的に最適化された構造設計手法を提案し、その成立性を定量的に評価した。 評価対象の航空機構造とトンボの翅では質量や剛性といった構造特性は大きく異なるが、外板と翅膜、補強部材と 翅脈における類似性から、翅脈を構成する第一翅脈(翼根から翼端に走る径の大きな翅脈)と第二翅脈(第一翅脈の間に走る径の小さな翅脈)の役割を航空機の補強外板構造へ適用することで新たな軽量補強構造を具現化できないか検討した。 第一翅脈は翼全体の剛性向上を担い、第二翅脈は翼全体で望ましい面外変形を得るための補強を担っているという仮定の下、第一翅脈は構造最適化の一手法であるトポロジー最適化、第二翅脈は数学的に定義される幾何学模様であるボロノイ分割によってそれぞれ設計した。その結果、第一翅脈配置によって最小限の補強で質量の増加を抑えつつも内部荷重を適切に分配し、剛性を増加させられること、面外変位に応じた第二翅脈配置との併用によって補強外板構造の座屈荷重を大幅に向上できることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の下半期に予定していた海外研究機関での研究滞在が新型コロナ感染症の流行によって延期されてしまったが、繰越予算によって2022年度に実現した。研究滞在によって得られた結果を基に設計手法の改善を進めることができているため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法はその設計変数の多さから計算コストの増大が課題である。増大する計算コストを低減するため、機械学習を用いた構造応答の近似手法を導入する予定である。当該近似手法の導入にあたっては既に実機開発において同様の手法を適用した実績のある海外研究機関での滞在で得られた知見を最大限に活用する予定である。
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