2021 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代の定住度の推定ー一次骨の形成時期の解明と定住度指標の確立ー
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21J22402
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| Allocation Type | Single-year Grants |
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
南谷 史菜 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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2021-04-28 – 2024-03-31
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| Keywords | 定住 / 狩猟採集民 / 放射性炭素 / レーザーアブレーション / 一次骨 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本先史時代の縄文人による狩猟や原材料獲得にともなった季節的な移動の復元を目的としており、成人の長期的な時系列情報を保有する可能性をもつ一次骨を用いることで、先史時代人の定住度指標を確立することが目標である。縄文人は定住的な狩猟採集生活をしていたとされる世界的にも珍しい狩猟採集民として知られるが、長期的な移動履歴の復元には歯エナメル質の幼少期の復元があり、実際に移動する「成人」の時系列情報を復元する手法が確立されていなかった。そこで本研究はまず、現代人骨を用いて一次骨の形成時期を明らかにし、それにもとづいて考古資料への応用を実施することとした。
１年目にあたる2021年度の研究計画は、縄文人骨の資料収集と一次骨の形成時期の解明が主な内容であった。資料収集は、COVID-19の長期的な流行によりほぼ進んでいない。2022年度は所属大学期間の活動制限が緩和されるため、考古資料の収集および分析を進める。一次骨の形成時期については、分解能250ミクロンで現代人の一次骨の放射性炭素分析を行った。得られた放射性炭素濃度は骨の形成方向に沿って変動し、一次骨の形成時期を概ね推定することができた。これにより古人骨から移動履歴の復元ができると期待される。しかし、形成期間については不明な点が残り、サンプリングの分解能を向上させる必要があるとわかった。そのため、100ミクロンのサンプリングが期待できる、レーザーアブレーション装置搭載の高空間解像度放射性炭素度分析法の開発に着手した。これまでにシステムの構築とその予備実験を実施し、手法検証のための基礎データの収集および実試料への応用を行った。その結果、サンプリング分解能を向上させることはできなかったが、構築したシステムは骨を含めた有機物の放射性炭素高解像度分析を加速するものとなり、新たなプラットフォームを手に入れることができたとも言える。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、所属大学機関の活動制限により研究活動が制限された。そのため、当初予定していた縄文人骨の資料収集を行うことができなかった。いっぽうで、レーザーアブレーションによる新しいサンプリングシステムの開発は、高空間解像度な放射性炭素測定を可能とし、測定技術の効率化が進んだため、次年度以降の分析時間や効率の向上が期待できる。
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| Strategy for Future Research Activity |
2022年度は2021年度に引き続き、レーザーアブレーション-放射性炭素測定システムの開発を行う。具体的には、高空間解像度分析の実現に要する微量分析においても比較的安定した測定を行うため、測定時間や測定条件の最適化を行い、分析のルーチンを確立する。検証結果を踏まえ、実試料による最終的な検証を行ったのち、一次骨の形成時期と形成期間の推定・解釈を進める。
2022年度からの所属研究機関の活動制限の緩和に伴い、2021年度に予定していた考古資料の収集および調査を行う。ただし、2021年度の計画が当初より遅れていることを鑑み、縄文時代の定住度の大きな変化が期待される縄文早期の遺跡群を集中的に分析することで、当初計画の目的を達成したい。具体的には、成人の季節的な移動パターンを復元するため、LA-ICP-MSによるストロンチウム同位体比分析を行い、その際、汚染の影響が低いリン酸の酸素同位体比と比較することで分析の検証を行う。
研究成果の公開については、COVID-10により昨年度延期となった国際会議が2022年度に予定通り開催となれば発表し、また、これまでの成果を国際専門雑誌へ投稿するための論文の準備を進め、年度内に公表する。
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Research Products
(1 results)
