2023 Fiscal Year Annual Research Report
金属錯体ナノ空間によるsp3ナノ炭素材料の精密合成と機能開拓
Project/Area Number |
22KJ0692
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 真大 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 金属有機構造体 / ラジカル重合 / 架橋 / トポロジー / 二重鎖高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、生体系では汎用的なモチーフとして用いられている二本の高分子鎖が平行に束ねられた二重鎖高分子の、簡便な合成手法の開発と物性評価を目的としている。昨年度までに、多孔性金属錯体(Metal-Organic Frameworks, MOF)が有する一次元のナノ細孔を鋳型として用いることで、市販のビニルモノマーから二重鎖高分子が得られることを明らかとし、さらに従来合成困難であった二重鎖ビニル高分子の物性を解析することで、二重鎖構造が物性に与える影響を評価することに成功した。しかし、合成手法上の制約により導入できる官能基の種類が限られ、二重鎖高分子を基にした機能性材料の構築は妨げられていた。本年度では容易に修飾可能な反応性の高い部位を有するモノマーを用いて二重鎖高分子を合成し、合成後に高分子鎖を修飾することで多様な二重鎖高分子を得ることを目指した。1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート (HFIPA) は、フッ素の強い電子吸引能により反応性が高められたカルボニル基を有し、HFIPAからなるポリマーは温和な条件下で多様な官能基と側鎖を有する二重鎖ポリアクリレート、ポリアクリルアミドへ変換できる。HFIPAのMOFの細孔内での架橋重合により二重鎖のHFIPA高分子 (DPHFIPA) を合成した。なお、疎水性のフルオロ側鎖により反応および単離過程でのHFIPAユニットの加水分解は抑制されていた。続いて、各種アルコールやアミンを添加することでDPHFIPAの側鎖を変換することに成功した。二重鎖高分子の物性は側鎖の構造に応じて変化し、温度応答性などの機能を発現させることにも成功した。
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