2022 Fiscal Year Annual Research Report
広域多波長探査で解き明かす銀河進化における宇宙大規模構造の役割
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22J00495
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 慧 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 銀河進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究実施計画で掲げていた「星形成を終えようとしている静かな銀河による原始銀河団探査」について重点的に取り組んだ。まず、2022年4月には採用以前にCOSMOS2020と呼ばれる最新のカタログ(Weaver et al. 2022, ApJS, 258, 11)をもとに選択した星形成を終えようとしている静かな銀河による原始銀河団の候補に対してKeck望遠鏡の近赤外分光装置MOSFIREによる追観測を行った。その初期成果をもとに論文にまとめるため、また今後の研究方針を議論するため、共同研究者が多く所属するデンマークのCosmic DAWN Centerに8月から9月にかけて本特別研究員奨励費を活用して滞在した。滞在中には観測提案書を複数執筆し、別の研究を開始した。結果、原始銀河団を1領域新たに発見することに成功し、2023年1月にAstrophysical Journal Letter誌に論文を出版し報告した (Ito et al. 2023, ApJL, 945, L9) 。 また、研究計画に挙げていたもう一つのテーマである、「銀河のサイズにおける環境依存性と環境効果が生じた原因の調査」に関しては、すばる望遠鏡のHSC-SSPデータ中の銀河に対してサイズ測定を行った。 これらの研究成果や以前の成果を元に、2022年度は国際学会における発表を4件 (内招待講演が1件)、国内学会における発表を1件行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に掲げていたテーマの一つである、星形成を終えようとしている静かな銀河による原始銀河団探査については2022年度に候補天体に対して追観測をKeck望遠鏡 MOSFIREで予定通り行うことができ、1領域を発見することに成功した。この結果を論文化することもできた(Ito et al. 2023, ApJL, 945, L9)。また、もう一つの課題である「銀河のサイズにおける環境依存性と環境効果が生じた原因の調査」に関しても結果の検証等を行う必要はあるが、サイズ測定自体は終了している。以上よりおおむね順調に進展していると言えると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、発見した原始銀河団中の星形成を終えようとしている静かな銀河がいつ質量を獲得したのか、どのくらいの大きさなのか、などを明らかにすることで原始銀河団の形成と進化を辿っていきたい。また、HSC-SSP銀河のサイズ測定をもとに銀河のサイズにおける環境依存性を明らかにしていきたい。
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Research Products
(15 results)