2023 Fiscal Year Research-status Report
ナノスケールで三次元的に制御した高性能複合光触媒の開発と水素生成への応用
Project/Area Number |
22KJ0733
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長川 遥輝 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 光触媒 / 水素製造 / ナノ粒子 / ナノ加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の研究では、初年度に開発した電子トラップ法を、代表的な可視光応答性光触媒である硫化カドミウム(CdS)に適用した。CdSの硫化物イオン欠陥では、Cd金属として電子がトラップされる。その後、貴金属イオンを添加すると、Cd金属との間でガルバニック置換が進行し、貴金属のナノ粒子が析出する。特に、水素生成反応に有効な助触媒である白金(Pt)ナノ粒子を析出させると、高活性で光触媒反応による水素生成が進行した。 また、従来法である光析出法と本研究が見出した電子トラップ法では、Ptナノ粒子の析出における、結晶面選択性が異なることが明らかになった。光析出法では、表面エネルギーの高いCdS(101)面で析出する傾向が示された一方で、電子トラップ法では、粒子全体で析出した。さらに、乳酸犠牲試薬存在下における水素生成反応後のPt-CdSの形態観察を行うと、自己酸化による光腐食反応が進行していることがわかった。この反応は、励起した電子が消費された条件で進行するため、電子アクセプターとして働くPt助触媒が担持されている結晶面で顕著であった。 本研究で開発した光加工プロセスを発展させることで、より高度なナノスケールでの加工が可能になり、高活性化が期待される。現在では、セルロース系バイオマスの光改質反応において、従来よりも高い活性で進行することを明らかにしている。 また、初年度に開発した高結晶性の光触媒合成について、2年目には、金属有機構造体(MOF)を用いた新たな合成法を確立し、プロセスの多様化に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2年目では、初年度に開発した光触媒材料に対する、金属ナノ粒子の担持を達成した。特に、種々の助触媒金属の中でもPtナノ粒子が水素生成に高い活性を持つことを明らかにできた。さらに、結晶面選択的な光加工プロセスを新たに開発し、ナノスケールでの光触媒制御手法に多様性をもたらすことができた。以上より、計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発した光加工プロセスをベースに、高い活性を持つ光触媒の構造を設計し合成する。さらに、それらの加工状態や、その反応条件に着目し、光加工プロセスのメカニズム解明を目指す。最終的には、可燃性廃棄物の光改質反応に適用し、実用的な光触媒反応への道筋を示す。
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