2023 Fiscal Year Research-status Report
New insight into atmospheric seismology through the comparison of pressure and seismic data between the Earth and Mars
Project/Area Number |
22KJ0745
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野寺 圭祐 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Keywords | 火星 / 固気カップリング / 大気重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画の二年目にあたるR5年度は、前年度に作成した火星の局所低気圧のイベントカタログを用い、当該現象の特徴記載と大気-固体カップリング現象を利用した地下構造の推定を行った。成果は国際学会や国際学術誌にて報告した。 今年度は解析の対象を局所低気圧(数百mスケール)から大気重力波(数十kmスケール)に拡張し、長周期帯(周期1000秒程度)での固気カップリング現象という火星科学では未だ理解が進んでいない分野の発展に従事している。より大規模な現象を扱うことで、局所低気圧よりも深部の構造推定に活用できることが期待される。また、今までの火星大気重力波の研究では、衛星や着陸機により撮影された画像や探査機の記録した気圧データを用いた研究が主流であったのに対し、本研究では地震データという全く新しい切り口から当現象を調査しており、他の研究とは一線を画す成果が期待される。 以上に加え、地球の大気波動現象との比較のため2022年1月15日に発生したフンガ・トンガ火山の噴火に伴い励起されたラム波の解析も開始した。本解析は水平方向の気圧勾配による地震計の傾斜成分を抽出することで、観測点が一点であったとしても、ラム波の到来方向を見積もることが可能かどうかの検証を行うことを目的としている。これは「火星において一つの地震計のデータからいかに気象現象について理解を深められるか」という本研究の根幹を成す問いにおいて重要な観点である。 次年度には地球の大気波動現象への理解を深めた上で火星大気重力波に関する議論を展開できると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者と定期的に議論の場を設け、様々な観点から意見交換することができているため、計画通りスムーズに研究が進んでいると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画最終年度となる次年度は火星大気重力波の解析および地球の大気波動現象との比較の2テーマに注力し、火星における大気励起地震への理解を更に推し進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
おおよそ計画通りに予算を執行している。繰越分は旅費の一部として使用する予定である。
|