2023 Fiscal Year Annual Research Report
構造因子の精密制御による配位子保護金クラスター間電子移動反応の反応機構解明
Project/Area Number |
22KJ0813
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陶山 めぐみ 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 配位子保護金属クラスター / クラスター間電子移動反応 / 自己集積化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究において、Pt@Au12超原子コアを持ち、6電子で準閉殻電子配置をとる[PtAu24(SR)18]0と、その2電子還元体で8電子閉殻な[PtAu24(SR)18]2-の間で、有機配位子層の形成する絶縁層があるにも関わらず、溶液中で自発的な電子移動が進行する(式1)ことを見出した。 [PtAu24(SR)18]0 (6e) + [PtAu24(SR)18]2- (8e) → 2[PtAu24(SR)18]- (7e) (1) そして上記研究結果を端緒として、直鎖アルカンチオラート保護のクラスターを用い、クラスターの電子移動の反応速度の鎖長依存性について調査を行った。その結果、配位子のアルキル鎖が長いものの方が短いものと比べ電子移動速度が速い、という直感に反する結果を得た。エレクトロスプレーイオン化質量分析によるクラスター二量体の安定性評価や、活性化エネルギーの算出から、この結果は、中間体として提案されるクラスター二量体内で超原子軌道の重なりによって電子移動が進行する際に、長いアルキル鎖間のファンデルワールス相互作用による以下の2点が生じたためと結論した。 (1) 中間体であるクラスター二量体の寿命の伸長、(2) 反応する2つのクラスター間の距離の短縮による電子移動の反応確率の向上 上記の研究結果は、クラスターサイズの小さな粒子において溶液中の配位子層のダイナミクスが、クラスター間の反応に重要な役割を果たすことを露わにしたものである。 本年度は、クラスター間の電子移動反応を利用し、溶液中でのクラスター集積化に取り組んだ。配位子の挙動がその反応性に大きく寄与することを踏まえ、より反応性を上げるべく、長鎖アルキル間のファンデルワールス相互作用に加え、芳香族系のπ-π相互作用、クラスター自身の静電相互作用などを利用した。
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