2022 Fiscal Year Annual Research Report
Construction of model for the primordial atmospheric formatio with water production and theoretical prediction of water contents of terrestrial exoplanets
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22J11725
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 真博 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | exoplanet / planet formation / terrestrial planet |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題に従って,太陽系外の地球型惑星の海水量を理論的に予測する研究を進めた.前年度までに開発した理論モデルを用いて,惑星形成プロセスをシミュレーションし,その過程の中で獲得される水の量を見積もった.その結果,本研究課題の重要な点である「原始大気とマグマオーシャンとの化学反応による水の生成過程の効果」が最終的な惑星の海水量に大きな影響を与えることが明らかとなった.水生成過程を考慮していない従来のモデルでは,今後の系外惑星探索対象となるM型主系列星のまわりには地球程度の水量の惑星がほとんど形成されないと予測されていたが,本研究の結果は,むしろ非常に多様な海水量の惑星の存在を示唆するものとなった.特に,地球のような温暖な気候の実現のために適した海水量の惑星は数%程度存在しうるという予測を得た.これは,今後の系外惑星探索によって地球のような惑星が発見される可能性が十分にあることを示唆している.この研究の成果はすでに国際誌「Nature Astronomy」に発表されている. さらに今回開発した理論モデルの検証を行うために,現在得られている系外惑星のデータ(公転周期や惑星半径の分布など)と理論から得られる予測分布とを統計的に比較する手法を開発している.これにより,現在の惑星形成理論の検証が可能になると期待され,さらなる理論の発展や地球のような惑星の形成過程の理解に大きく寄与できると考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に則り,自身のモデルによる理論予測と実際の観測データとの間で統計的な比較を行い,理論の検証を行うことができた.また,本研究課題の重要な要素の一つである「系外地球型惑星の獲得水量予測」に関して,論文を発表することができた.このように年度はじめの計画を概ね実施できたことから,本研究課題は順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究を行う中で明らかとなった現状モデルの不足点を解消し,モデルの改良を行う.さらにモデル検証についても,前年度よりもより詳細な統計的比較を行うための手法を確立する.この手法を用いて,惑星形成の初期条件 (例えば原始惑星系円盤の初期密度や温度分布) や不確定性の大きなパラメータ (原始惑星系円盤の粘性や水生成の効率など) へ定量的な制約を与え,今後の理論の発展において特に注目するべき素過程について明らかにする.そうして検証された理論モデルを用いて,系外惑星の獲得水量の頻度分布を理論的に予測する.特に将来的な観測結果との比較のために,系外惑星探査の主な対象であるM型星まわりの惑星に焦点を当てる.また地球程度の海水量をもつ惑星の存在頻度が主星の質量や初期の円盤の条件,および水生成の効率によってどの程度影響されるかを明らかにする.
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Research Products
(5 results)