2023 Fiscal Year Annual Research Report
二相系ポリオキソメタレート触媒による低級アルカンの選択酸化反応の開発
Project/Area Number |
22KJ0823
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小泉 慶洋 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ポリオキソメタレート / 銅多核構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分子状のアニオン性金属酸化物であるポリオキソメタレートを用いて、メタンをはじめとする低級アルカンの酸化反応に高活性を示す金属多核活性点構造を設計し、低級アルカンからアルコールへの高選択的な酸素酸化反応を実現することを目的とする。昨年度は、空孔中央に反応性の高い酸素原子を多数有する環状ポリオキソメタレートと銅(II)イオンを反応させることで、4核、8核、12核、16核の銅多核構造を合成した。また、これらの銅多核構造内包ポリオキソメタレートを固相還元することで、鋳型の空孔内部に銅(I)イオンや銅(0)原子からなる銅ナノクラスターを合成できることを明らかにした。今年度では、種々の分光分析や元素分析、放射光施設を利用したX線微細吸収構造解析や単結晶X線構造解析によって、銅ナノクラスターの還元過程や還元後の構造解析を行った。あらかじめ空孔内部に銅オキソクラスターを設計しておくことで従来よりも低温で一部の銅イオンを0価まで還元可能なほか、鋳型分子の安定性に伴って空孔内部の銅原子の核数を保持したまま露出表面を有するナノクラスターの形成も可能にした。本手法は核数が異なる銅多核構造についても、同様の固相還元法によってナノクラスターを構築可能であった。また、合成した銅ナノクラスター内包ポリオキソメタレートを触媒に用いて、種々の官能基の水素化反応を達成した。したがって、還元された銅イオンもメタン酸化反応の活性点構造となり得ることを考慮すると、環状ポリオキソメタレートを鋳型に用いて合成された多様な核数の銅ナノクラスターの露出表面を活性点に利用してメタン酸化反応の検討が可能になると期待される。
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