2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study for galaxy evolution in dense environment based on a systematic search for galaxy protoclusters
Project/Area Number |
22J11975
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 誠 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | 銀河団 / 原始銀河団 / 銀河の形成・進化 / 光赤外線天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、もともと使用予定であった可視光から赤外線のデータを含んだ解析済みの銀河カタログの公開が想定より遅れたため、本課題の準備段階と位置付けて取り組んでいた可視光データのみを用いた原始銀河団探査の結果をまとめた。この研究では、赤方偏移1.5の時代(今から約100億年前)に存在する原始銀河団候補を大量に(>5000個)発見することができた。これら原始銀河団候補に属する銀河は、より低密度な領域に存在する銀河と比べて星形成を停止しているものの割合が高く、特に大きな星質量を持つ銀河についてこの傾向が顕著であることがわかった。この結果は、成長した原始銀河団の中心部において、星形成の材料となる冷たいガスの流入が阻害されるというシナリオで説明可能である。また、原始銀河団領域で見られる星形成を停止した銀河の割合の超過は、より後の時代に存在する成長した銀河団で見られる超過と比べて小さいことがわかった。これは(原始)銀河団領域における銀河の星形成の停止が、赤方偏移1(今から約80億年前)以降の時代に顕著になることを示唆する。
そこで、成長した銀河団で銀河の星形成の停止がどのように進行するのかを調べるため、赤方偏移0(現在)から1の時代に存在する既知の銀河団のデータを用いて、星形成を停止した銀河の分布を調べた。その結果、銀河団中心部に存在する巨大銀河に対して、星形成を停止した銀河は特定の方向に偏って分布していることを発見した。このことは、銀河団内部を満たす高温プラズマが銀河の星形成活動に及ぼす作用が、銀河団の中で非等方的に働く可能性を示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、可視光から近赤外線までを含む観測データを用いた原始銀河団の探査は進まなかったものの、代替となる可視光データのみを用いた探査により、原始銀河団銀河の進化シナリオに制限をつけることができた。またこの結果を受けて、より成長した銀河団における銀河進化に着目した新しい研究も進展した。以上の研究からそれぞれ1報、計2報の査読付き学術論文を出版することができた。したがって、研究は順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
可視光だけでなく、近赤外線のデータも含めた原始銀河団の探査を進める。これにより、銀河の赤方偏移や星形成率の推定に含まれる不定性を減らし、原始銀河団環境が銀河に与える作用をより強固に検証することができる。また今年度の成果から、銀河団銀河の進化を理解するには成長後の銀河団を詳しく調べることも重要であると再認識をした。そこで、より低赤方偏移(z<1)の銀河と環境との関係についても詳しく調べていきたい。
|
Remarks |
いずれも研究内容に関するプレスリリース。
|
Research Products
(8 results)