2023 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of nanochitin-coated biodegradable microparticles
Project/Area Number |
22KJ0886
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加来 悠人 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | キチン / キチンナノファイバー / 生分解性ポリマー / マイクロ粒子 / 固体吸着 |
Outline of Annual Research Achievements |
天然多糖類の一種であり、主に甲殻類の殻に豊富に存在する海洋バイオマスであるキチンは、抗菌性や創傷治癒促進効果などの特徴を有し、化粧品や医療分野を中心に活用が期待される。特に、キチンに軽微な粉砕処理を施すことで得られるキチンナノファイバー(ChNF)は、繊維形状の新規ナノ材料として注目されている。本研究では、ChNFの新たな材料形態を探索するために、表面がChNFで被覆された生分解性マイクロ粒子を調製し、各種特性を解析した。 海洋において良好に生分解することが知られる酢酸セルロースをコアのマイクロ粒子として使用し、粒子表面をChNFで被覆する新規手法を開発した。本手法はChNF水分散液のpHを調整した上でポリマーを加えて撹拌するという、極めて簡便かつ有機溶媒を使用しない環境にやさしい手法である。水中において、疎水性のポリマーに水酸化物イオンが優先的に吸着され、静電相互作用によってカチオン性のChNFが吸着したと考えられる。また、本手法の適用はマイクロ粒子に限定されず、任意形状のポリマー材料に対して被覆を行なうことが可能である。 粒子表面にChNF由来のアミノ基が存在することから、得られた粒子はカチオン性を示した。そこで、カチオン性を活用した吸着能の評価を行なったところ、本粒子はアニオン性の染料を良好に吸着することが示され、ChNFを粒子表面に被覆させることで新たな機能性を付与できることを実証した。
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