2023 Fiscal Year Annual Research Report
半導体超格子構造を有する高性能平面型熱電変換デバイスの実現
Project/Area Number |
22KJ0939
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 壮太 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 熱電変換 / シリコンゲルマニウム / ホイスラー合金 / エナジーハーベスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は当初の予定であった超格子構造の熱電応用を探索するため、SiGe薄膜を用いた構造検討、熱電素子の作製に取り組んできた。我々は、まずSiGeを用いた平面型熱電素子を実現するため、シミュレーションを用いてデバイスの発電密度を最大化する構造設計を行った。構造最適化されたデバイスの熱起電力を開放電圧として測定し、シミュレーションで予想される出力と良い一致を得た。またSiGe膜厚を厚くすることで性能が大幅に向上することを示し、その性能1.75μWcm-2K-2はSi系材料を用いた同様の熱電素子としては最高性能である。 加えて、SiGe薄膜の性能向上に向け、ナノ構造作製が熱電性能に与える影響に関する研究を行った。最小の寸法が70-130 nmとなるように複数のサンプルを用意、このサンプルの電気・熱伝導率、熱起電力を決定するゼーベック係数を測定し熱電性能指数ZTを評価した。熱伝導率は予想通りナノ構造サイズが小さくなるにつれてフォノンの界面散乱が促されたことで最大24 %低下し、熱伝導率のサイズ効果の観測に成功した。大きな温度差が得づらい環境では、低い熱伝導率の材料を使用することで効率的に発電性能を増強できることが知られており、特にエネルギーハーベスティング応用には親和性の高い材料であるといえる。 先述した円孔配列型のナノ構造は2次元的な構造を有するが、薄膜の面直方向にも周期的な欠陥を導入することで熱伝導率をより効果的に低減し、高性能な熱電薄膜を実現できると考えられる。我々は、3 nm程度のSiGe極薄膜を含むSi/SiGe超格子構造を用意し、さらに2次元的なナノ構造を導入することで3次元のフォノン散乱機構を作製した。周期30 nmの超格子に対して、360 nm周期の円孔配列型ナノ構造を適用することで熱伝導率がその4分の1に低減できることが確認された。
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