2023 Fiscal Year Annual Research Report
身体化アバタとの心理的関係が対話に及ぼす影響の解明とアバタ活用ガイドラインの構築
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22KJ0940
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
畑田 裕二 東京大学, 情報学環, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | アバター / 物語的自己 / Narrative self / アイデンティティ / メタバース |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,外出困難者がロボットアバターで遠隔接客に従事する「分身ロボットカフェ」において,自ら望んだバーチャルアバターを用いて接客を行うサービスを開発・導入することが,従業員の物語的自己に与える影響を調査した.分身ロボットカフェで働く7人の障害を持つ参加者それぞれに対して本人の希望に基づいた独自のバーチャルアバターを用意し,分身ロボットカフェの通常の営業現場において既存のテレプレゼンスロボットと組み合わせた接客サービスを約1ヶ月に渡って実施した.期間中に縦断的に行われたインタビュー調査の結果,量産型のロボットアバターは障害等の特定の身体特性を匿名化・後景化する一方で,カスタマイズされたバーチャルアバターは個性を顕在化・前景化し,それまで(ロボットアバターを使用していた時に周囲の他者から)位置付けられていたアイデンティティを解体するとともに,自らが望ましいと感じるアイデンティティの非言語的宣言として機能することが明らかになった.また,必ずしも最初から自らのアイデンティティの位置付けに対して違和感を持っていなかったとしても,他者とのコミュニケーションの中でアバターによって変調されたアイデンティティの宣言と位置付け直しのループを繰り返すことで,徐々に変化が見られる可能性も示唆された.
アバターを通じた長期的な社会活動を通じて望ましい自己変容を導くには,アバターのユーザーのアイデンティティがアバター使用前に周囲からいかなる位置付けを与えられているか,その位置付けに対してユーザーはどのような受け入れ方をしているのか,またアバターを通じて宣言するアイデンティティがその位置付けをどのようにずらすことが可能なのかといった,他者を巻き込んだアイデンティティの宣言と位置づけ直しのループを考慮することが重要になると考えられる.
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Research Products
(6 results)