2022 Fiscal Year Annual Research Report
複数の宇宙機で構成される電波干渉計実現のための信号処理手法の確立
Project/Area Number |
22J14522
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 雅大 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 相対航法誘導 / DOA推定 / 軌道決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,観測対象を自然天体ではなく,人工の宇宙機として検討を進めた.今後の深宇宙探査においては,複数の宇宙機で構成される協調ミッションが注目されており,その実現に当たって重要な技術の一つが,宇宙機間の相対位置や速度を知る相対航法である.本研究では,電波(ビーコン)を用いた相対航法を提案した.提案手法では,ターゲット宇宙機がビーコンを発信し,観測機がビーコンを受信する.その受信情報からビーコンの到来方向,すなわちターゲットの方向を測定する.得られた方向の情報からターゲット宇宙機の相対位置と相対速度,すなわち相対軌道を推定することができる.今年度は数値シミュレーションと実験により,以下の2点に関して検討を行った. まず,電波の方向推定手法として,DOA(Direction Of Arrival)推定手法と呼ばれる手法の検討を行った.同手法は防衛,5G通信など,地上での利用を前提に研究されてきたものであり,複数の電波源の方向を同時に推定可能である.原理的には電波干渉計の手法を発展させたものである.本手法を宇宙機の航法へ適用することを考え,その妥当性について数値シミュレーションと実験による検証を行った.その結果,微弱なビーコンであっても方向推定が可能であり,宇宙利用可能であることが分かった. 次に,角度情報のみを用いた相対航法に関する検討を行った.上記の方向推定手法により得られる角度情報のみでは,軌道を決定することは原理的に不可能であるが,観測機が適切なマヌーバにより相対速度を変更させることによって,軌道を決定することができる.この点に関して,定量的に確認を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
観測対象を自然天体ではなく,宇宙機に絞って検討を進めているため.ただし,提案している相対航法の手法は,本計画で掲げている,複数宇宙機による電波干渉計の成立に当たって重要であり,必要不可欠な要素であると考える.なぜならば,高精度な位置制御が不要ではあるものの,粗い精度での位置推定は必要であるためである.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,対象を宇宙機として検討を進める.前年度では,測角手法(DOA推定手法)と相対航法について,単独で検討および評価を行った.今年度は両者を統合して検討および評価を行い,測角から航法・誘導に至る一連の流れを,「相対電波航法」というひとまとまりの手法として確立する. さらに,この「相対電波航法」を用いた応用検討も行う.具体的には,深宇宙における宇宙機同士のランデブードッキングおよび複数宇宙機フォーメーションの同時軌道決定を題材として,本手法の実用上での課題を抽出し,手法の改良を行う.
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