2023 Fiscal Year Annual Research Report
AD continuumにおけるsAPPβ依存的タウ分泌機構の意義の解明
Project/Area Number |
22KJ0968
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 玄謙 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / タウ分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー病(AD)の病理学的特徴として、アミロイドβの沈着および神経細胞内におけるタウタンパク質の異常凝集・蓄積が挙げられる。タウ蓄積病理の形成および拡大は認知機能の低下と強く相関することから、その詳細な分子機構の理解はAD発症機序解明において重要である。タウ蓄積病理は、神経回路に沿って脳全体へと伝播する。タウ病理の伝播プロセスは、細胞質タンパク質であるタウの細胞外への分泌、近傍の細胞への取り込み、細胞質中でのタウ凝集誘導の過程から成ると考えられており、細胞外に分泌されたタウが重要な役割を果たす。また近年、AD患者の脳脊髄液(CSF)中において、脳内にタウ蓄積が広がる前に、特定のリン酸化タウ(pT181、pT205、pT217)量が選択的に増加し、引き続いてtotalタウ量も増加することもわかった。すなわち、AD病態進行におけるタウ蓄積病理の形成・拡大には、細胞外タウが関与していることが示唆される。しかし、細胞質タンパク質であるタウの分泌制御メカニズムの詳細は未だ明らかではない。そこで本研究では、C末端にVenusを付加した全長タウ(1N4RTAU-Venus)を恒常発現するマウス神経芽細胞種由来Neuro2a (N2a)細胞株を用い、AD発症過程において発現量が変動する因子群を候補としてタウ分泌制御因子のスクリーニングを行うこととした。その結果、特定のリン酸化タウの選択的な分泌亢進に関わる因子としてARF6を、totalタウ分泌亢進に関わる因子としてCD22を見出した。ARF6依存的に分泌されるリン酸化タウは、ADにおいてCSF中で増加するリン酸化タウと一致しており、ARF6の発現量の増加がCSFにおける変化やタウ蓄積病理の拡大を担う可能性が考えられる。またCD22依存的なtotalタウ分泌亢進機構には、リガンド結合ドメインを含むN末端領域が必要であった。
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