2022 Fiscal Year Annual Research Report
持久的パフォーマンス向上のための新規栄養戦略の開発:代謝の柔軟性に着目して
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22J15092
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柄澤 拓也 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | メタボリックフレキシビリティー / 高糖質食 / 高脂肪食 / ラット / 糖質酸化量 |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツ選手のパフォーマンスを高めたり、また代謝機能の健康状態を保持・増進したりするうえで、糖質と脂質を状況に応じて柔軟に使い分ける能力(代謝の柔軟性)を高めることが重要となる。本研究では、それぞれ糖質と脂質の利用能力を高めることが知られている高糖質食および高脂肪食を1日ごとに交互に摂取する食事法(HYBRID法)によって、代謝の柔軟性を高めることができるのか、実験動物を対象として検証することを目的とした。 本年度は、まず、HYBRID法が安静時の代謝に及ぼす影響を評価した。SD系雄性ラットを、①高糖質食と高脂肪食を1日おきに交互に摂取する群(HYBRID群)、②HYBRID群と摂取する栄養素の総量が等しくなるように作製した食事(高糖質食と高脂肪食の中間の組成の食事)を毎日摂取する群(MIX群)、③通常食を毎日摂取する群(CON群)に分け、5週間の介入を行った。介入4週目に小型動物用呼気ガス分析チャンバーを用いて、絶食時から通常食摂取時にかけてのエネルギー基質利用の変化を測定したところ、絶食時におけるエネルギー基質利用には有意な群間差が認められなかったものの、通常食摂取にともなう糖質酸化量の増加はHYBRID群でMIX群と比較して有意に大きかった。以上の結果から、たとえ栄養素の総量が同等であったとしても、糖質と脂質の摂取量を1日ごとに大きく変化させることによって、代謝の柔軟性を高めることができる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、HYBRID法の給餌方法を確立し、安静条件での効果を検討することができた。また、仮説通り、HYBRID法により代謝の柔軟性が高まるという結果が得られており、運動トレーニングとの併用効果の検証に向けて研究はおおむね順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、HYBRID法を運動トレーニングと併用した場合の効果について検討する。また、骨格筋の代謝関連分子の発現量やミトコンドリア呼吸機能の測定を行うことで、HYBRID法により代謝の柔軟性が向上したメカニズムを検討する予定である。さらに、このような食事法の健康科学分野への応用を見据えて、耐糖能機能の評価等も併せて実施していきたい。
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