2022 Fiscal Year Annual Research Report
The diffusion mechanism of charged defects at grain boundary
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22J15213
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二塚 俊洋 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 走査透過型電子顕微鏡 / 第一原理計算 / セラミックス / 拡散 / 結晶粒界 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,代表的なセラミックスであるAl2O3(アルミナ)のΣ31粒界(※1)におけるHfの粒界拡散を解析した.走査透過型電子顕微鏡による原子分解能その場観察像に基づき,各粒界サイトにおけるHf遷移の頻度を解析した.Hfは粒界に沿った方向に優先的に遷移し,粒界から母相への遷移はほとんど観察されなかった.また,粒界サイトに依存して遷移頻度が大きく異なる様子が観察された. 理論計算によりアルミナΣ31粒界の3次元構造を再現した.Simulated Annealing法(※2)による粒界構造探索により,従来の報告よりもエネルギー的に安定な粒界構造を発見した.本構造は電子顕微鏡像と精度よく一致し,Σ31粒界では母相と原子環境が近い領域および大きく異なる領域が交互に配列することが明らかとなった.Hf遷移頻度の解析との比較により,母相と原子環境が異なるサイトにおいてHfが高頻度で遷移することが明らかとなった.得たΣ31粒界構造に基づき,Hfの偏析エネルギー(※3)および空孔交換機構(※4)による活性化エネルギー(※5)を評価した.粒界サイトは母相より活性化エネルギーが低下し,原子が高頻度で遷移することが明らかとなった. ※1 多結晶体の結晶粒間の界面.Σは粒界の整合性を意味する. ※2 計算機上で系を高温から低温へゆっくりと冷却することで,広範な原子構造を探索する手法. ※3 粒界偏析の起こりやすさの指標. ※4 原子と空孔の交換による拡散機構. ※5 原子遷移の起こりやすさの指標.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,STEMその場観察像に基づく各原子サイトのHf遷移頻度の解析および理論計算によるHf遷移の解析を行った.研究は順調に進行していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは,空孔交換機構を仮定して活性化エネルギーを計算した.粒界全体で活性化エネルギーが低下する傾向が見られたものの,粒界サイトと遷移頻度の関係は説明できていない.今後は,他の機構を仮定して活性化エネルギーの計算を行う.実験および計算に基づいて,粒界拡散の詳細な機構を明らかにする.得られた結果を取りまとめ,国際論文誌への投稿および国内外での学会発表を行う.
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Research Products
(4 results)