2022 Fiscal Year Annual Research Report
走パフォーマンス規定因子としての個人間運動同期の解明
Project/Area Number |
22J15395
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古川 大晃 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ランニング / 同期 / ピッチ / 心拍数 / 主観的運動強度 / パフォーマンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究の目的は2つあり、1つは、陸上競技長距離走において走者間に同期が生じるのか、 その有無を定量的に示すことである。実際のランニングレース映像における走者の走動作やピッチを、2人が近接して走行する場面について分析することで、個人間に同期が生じているかを明らかにする。 2つ目の目的は、長距離走における2者間の同期がパフォーマンスに及ぼす影響を定量化することである。2台のトレッドミルを用いる実験環境下で、2人の走者に並走や前後での走行を行わせながら、一方の走者のピッチを作為的に操作することで、もう一方の走者に生じる同期の程度を調整する。2者間に同期が生じている場合と生じていない場合における生理・心理的負荷 (心拍数や血中乳酸値、主観的運動強度等)を評価し、同期がパフォーマンスに及ぼす影響を定量化する。 前者の目的については、現在事例的、試験的に男子100mの国内最高記録のレース動画を分析し、先頭の2者間に同期が生じている可能性を示した。この結果については国内学会で発表済である。また、現在論文執筆を行っており、2023年7月頃までに国際誌に投稿予定である。 前者の目的については、まず低強度でのランニングにおいて2者間の同期性及び生理・心理的負荷を検討する実験を行い、その結果については国際学会にて発表を行った。また、国際誌PLoS Oneに投稿し、2023年1月に受理されている。今後はレースペースに近い高強度でのトレッドミル実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多くのレース動画を半自動的に解析する予定であったが、複数のランナーが映る動画において、全ての動画フレーム間で同じランナーに同じラベリングをするプログラムの構築がうまくいかず、そのため解析を終えた動画の数が限られている。この点で、予定より遅れている。 また、ランナー間に同期が生じるとして、同期が生じる要因を他走者の視覚情報・聴覚情報の観点から同定することも行いたいと考えている。この取り組みにも視野を広げ、実験を追加しているため、ストレートフォワードな計画から少しそれ、遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
動画解析の研究に関しては、現在、構想はしているもののまだ試せていないラベリングのプログラムがあり、それらを順次試していく必要がある。また、ChatGPT等の新しいツールを利用し、プログラムコード作成を推進する予定である。 また、トレッドミル実験に関しては、他走者の視覚情報をモニターで提示する方策も計画しており、この動画作成も今後の課題である。この課題に関しては他の研究者に相談し、協力を仰ぎながら推し進めていきたい。
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Research Products
(2 results)