2022 Fiscal Year Annual Research Report
The computational and neuronal mechanisms to sophisticate the feedforward motor command based on error information
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22J15425
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
牧野 勇登 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 運動学習 / 意識的 / 感覚誤差 / フィードバック制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の運動学習系は、感覚器を通じて誤差を受けた経験を基に、試行をまたいで運動指令を洗練化する優れた能力を有している。しかしどのような感覚誤差情報を基に運動指令の洗練化プロセスを無意識に実行しているのか、またどのようなシステムによって干渉を受けるのかといった問題は解明されていない。本研究では、腕到達運動を対象とした既存の行動実験パラダイムを改良することで、様々な誤差情報に対する試行をまたいだ誤差修正応答(運動学習応答)を測定し、運動学習系が運動指令を洗練化するプロセスの解明を目指した。今年度は、試行内で誤差を修正する応答(フィードバック応答)を意識的に出力することが、無意識的な運動学習応答にどのような影響を与えるか検討した。 先行研究では、フィードバック応答が運動学習応答生成に用いられているという仮説が提唱されていたが、実験結果では、意識的なフィードバック応答はむしろ無意識的な運動学習応答を妨げていることが明らかになった。この知見は、意識的・無意識的な誤差修正システムがどのように作用し合っているかを解明することにつながる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、無意識的に運動指令を更新する運動学習プロセスの解明を目指している。今年度は、様々な時間変化パターンの誤差情報に対する試行をまたいだ誤差修正応答(運動学習応答)を測定し、それらの誤差に対する運動学習応答生成機序の解明を試みたのみならず、意識的なフィードバック応答はむしろ無意識的な運動学習応答を妨げていることを明らかにした。これらの知見は、無意識的に運動指令を更新する運動学習プロセスについての新しいものである。今後、これらを包括的に記述できるような数理モデルを構築することで運動学習系がどのように感覚情報を用いて運動指令を洗練化しているか明らかにすることができるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、無意識的に運動指令を更新する運動学習プロセスの解明を目指している。今年度は、様々な時間変化パターンの誤差情報に対する試行をまたいだ誤差修正応答(運動学習応答)を測定し、それらの誤差に対する運動学習応答生成機序の解明を試みた。まずこれらのプロセスを記述する数理モデルを構築することで感覚情報上の誤差情報を用いて運動指令を更新する機序の解明をすることができる。さらに、本研究の知見がより複雑な運動でも応用可能か検討することも試みる。本研究の知見はある点からある点までハンドルを動かす腕到達運動を対象にしているが、その運動を組み合わた複数の到達運動を対象にした際に、感覚情報上の誤差情報を用いてどのように一連の運動の運動軌道を更新するのだろうか。このような問題を検討することで、人の運動学習系が複雑な運動を実行するメカニズムの解明につながるだろう。
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