2022 Fiscal Year Annual Research Report
速度分布関数の直接計測による磁気リコネクション現象のエネルギー変換機構の解明
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22J20382
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
染谷 諒 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 磁気リコネクション / イオン流速計測 / スケーリング則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本報告期間前半は本研究室の磁気リコネクション発生装置が改修作業中であり開発したプローブアレイを用いた追加実験ができなかったため, この期間を利用し改修作業後更に詳細に磁気リコネクションにおけるイオン加速・加熱機構を考察できるよう, イオン速度分布関数計測の計測点の2次元化と, これまで計測できていた速度のZ, R成分に加えてθ成分も計測可能にする改良を進めた. 従来の計測では2本の平行なガラス管内に受光機構を配列し, 挟まれた1直線上の計測点に対しての計測であったため, 計測点は1次元, 計測可能な速度成分は2本のガラス管が張る平面上の2成分に留まっていた。これをガラス管と観測視線の配置を変更することで, 計測点を2次元化し, 更に3成分の速度を計測できるように改良し. また, この改良に伴い観測視線が大幅に増加するため, 最大128チャンネルを同時に分光計測できる分光システムを構築した. 実験装置の改修を終えた後期には, 以上のように作成した三成分(Z, R, θ)流速計測型ドップラープローブと128ch分光システムを用いて磁気リコネクション中のイオン速度計測の初期計測を行った. イオン流速のθ方向成分を計測することに成功した一方で, 計測点の2次元化については光量が合体面(Z = 0)から離れるに従って小さくなるために同時計測を行うには光量の調整などの工夫が必要であることが新たに分かった. また, リコネクション磁場強度を変化させてイオン流速を計測したところ, イオンアウトフローとリコネクション磁場強度との間に相関が見られた. これはイオン温度がリコネクション磁場の増加に伴って増加するスケーリング則に一致する結果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個人の進捗としては, 当初の計画通り, 従来の計測法を改良してイオン流速の3成分同時計測が可能なプローブアレイと128ch同時分光システムを完成することができた. また, 研究室全体としても磁気リコネクション発生装置の改修が無事完了し, より多様な条件での実験が可能となった,
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本報告機関で新たに計測可能になったイオン流速のθ方向成分がより物理に関わるFRC(逆転磁場配位型)での計測を進め, その物理を解明することと, 磁気リコネクション発生装置の改修により実験条件の幅が広がったことを活用し, イオン流速のスケーリング則の実証とイオン温度のスケーリング則との関係を調べる.
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