2023 Fiscal Year Research-status Report
びまん性胃がん及び周辺組織におけるシングルセルオミクス解析
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22KJ1012
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坪坂 歩 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 胃癌 / scRNA-seq / 空間トランスクリプトーム |
Outline of Annual Research Achievements |
複数サンプルで同一症例シングルセルRNA-seq (scRNA-seq)・一細胞空間トランスクリプトーム解析を行った。一部の症例では腫瘍サンプル由来のマウスPDXモデル及び細胞株樹立も成功しており、検証実験なども行う準備ができつつある。空間トランスクリプトーム解析では昨年度作成したscRNA-seqデータセットをリファレンスとすることで、正常組織において、組織像と対応した細胞アノテーションの作成及び空間情報を含んだ細胞間相互作用解析に成功し、論文として受理された。今後はがん組織においてもscRNA-seqのデータセットを用いた細胞アノテーション解析や空間細胞間相互作用解析を行い、がん組織の微小環境や微小浸潤解析など、臨床的にも重要ながん生物学の知見の探索を行う予定である。また、4年間で蓄積してきたwhole genome sequenceやBulk RNA sequence、scRNA-seqのデータ、病理組織画像と空間トランスクリプトームのデータを統合して、胃癌の病理学・分子生物学的に新たな分類を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目以降の目標として、(1) 前処理及び細胞種の同定、(2)癌の分化の類推、癌幹細胞の同定、細胞間相互作用の網羅的解析、(3)解析結果から仮説を建てて、モデルマウスでの検証することを挙げた。 (1)に関して、scRNA-seqデータセットは昨年度の時点で既に詳細なクラスタリングが可能であった。新たに可能になった空間トランスクリプトーム解析のデータ解析においてもクラスタリングを行い、組織像と対応したアノテーション結果が得られている。 (2)に関しては、特に空間トランスクリプトームを用いて空間情報を含んだ細胞間相互作用を同定することが可能になっており、実際のがん組織でいくつか新規の微小環境の相互作用の候補を同定できている。 (3)に関しては、(2)の解析結果に応じて免疫染色等のscRNA-seqやin situ hybridizationとは異なるモダリティで検討を行い、in vitroやin vivoの実験系を用いて生物学的意義の検証を行なっていく方針である。
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Strategy for Future Research Activity |
scRNA-seq及び空間トランスクリプトームについて、細胞間相互作用や微小領域の発現変動遺伝子探索などの詳細な下流解析を行う。特に空間トランスクリプトーム解析は解析手法が発展途上であるため、さまざまな手法でデータ解析を行い、適宜解析パイプラインを見直すことが必要である。 現時点では空間トランスクリプトームでは遺伝子数が限られるという技術的限界があるので、同一症例scRNA-seqを用いた発現情報の推定解析を実施する。これまではscRNA-seq単独では難しかった空間情報を含めた腫瘍微小環境や浸潤部の解析などを行い、治療ターゲットや腫瘍の進展・転移に重要な因子を同定し、in vitro・in vivoで検証し、臨床応用に近い発見に繋げる。
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Research Products
(6 results)