2022 Fiscal Year Annual Research Report
ジュディス・バトラーのパフォーマティヴィティと不安定性:概念の遷移と応用可能性
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22J20711
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青本 柚紀 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | フェミニズム / クィア理論 / フェミニスト哲学 / クィア批評 / ジュディス・バトラー |
Outline of Annual Research Achievements |
ジュディス・バトラーがsex=「生物学的性」とみなされるものは規範として生産されたものにすぎないとしてその絶対性を否定していることや「女」というアイデンティティのみに基づき交差性を前提としないフェミニズムを厳しく批判していることを踏まえて、現代詩手帖2022年8月号と2023年3月号にそれぞれ「劇薬としてのクィア・ライティング」・「分かれ道:フェミニズムとハンマーの共鳴性」と題した短文ないしは論考を寄稿した。これは、研究成果をアカデミアの内外に還元するものである。 また、2023年2月15日にはThe 3rd Four Universities' Graduate Workshop in 2023において"Subversion of Gender and Sexuality Following Judith Butler in Japanese Pop Culture"という題で、国内外の研究者に対して日本のポップカルチャーに見られるジュディス・バトラーを理論的土台とするジェンダーないしはセクシュアリティの攪乱的な表象がいかにして行われているのか、そしていかなる効果を発揮するのかの分析に基づく発表を行った。これは、研究成果の国際的なアウトリーチであり、かつバトラーの理論の有効性を広く訴える成果の第一歩である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学会発表や論考の寄稿などを通じた研究成果のアカデミア内外へのアウトリーチ自体は順調に進んでいるものの、ジュディス・バトラーの理論的達成についての分析の結果を学会誌への投稿などを通じてアカデミアに公開すること自体は計画に比して遅れが見られるため。ただし、修士論文の成果や学会発表の内容などに基づいた論文投稿の準備自体は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、今年度中に修士論文の成果をはじめ現在準備している2本の論文を投稿する。また、『ジェンダー・トラブル』や『問題=物質となる身体』におけるバトラーのラカンやフロイトをはじめとする精神分析に関する批判的読解についての発表を表象文化論学会第17回研究発表集会にて発表し、発表の内容を論文化する。アウトリーチの観点から論文の投稿のうちのいずれか一本は海外ジャーナルに投稿する予定である。
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