2022 Fiscal Year Annual Research Report
Developing first-principles method for strongly interacting phonons and its application to exotic phenomena
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22J20892
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増木 亮太 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | フォノン間相互作用 / 構造相転移 / フォノン / 構造物性 / 結晶構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、フォノン多体効果を取り込んで有限温度における結晶構造を計算する理論開発、コード開発を行った。結晶構造は物質の性質を決める最も基本的な要素であるが、その定量的な予測は主にゼロ温度に限られており、格子振動の効果によって現れる有限温度の多彩な相を予測することは困難であった。我々は、フォノン間相互作用が非常に強い場合にも適用可能な理論である自己無撞着フォノン理論を拡張し、有限温度で結晶構造を最適化する定式化、プログラム開発を行った。我々はこれを、代表的な強誘電体であるBaTiO3に適用し、その3段階の構造相転移を再現することに成功した。この研究の成果はPhysical Review B誌から出版されている。 フォノン間相互作用がより弱い物質において、結晶構造における有限温度効果は、熱膨張や対称性的に関連がない相の間の不連続な構造相転移として現れる。こうした物質の第一原理計算では、準調和近似とよばれる近似が用いられるが、計算量の観点から全ての自由度を最適化するのが難しく、求められる構造に制約がつくのが普通であった。我々は、自己無撞着フォノン理論に対して用いたアイデアを応用して準調和近似の範囲で全ての自由度を最適化することを可能にする方法論開発を行うとともに、適切な方法を用いることで、構造に制約をつけても考えている自由度の温度依存性をリーズナブルに計算できることを証明した。この成果をまとめた論文はPhysical Review B誌にアクセプトされている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、フォノンの多体効果まで取り込んで有限温度の結晶構造を計算できる第一原理手法の開発に成功した。この方法はさまざまな物質に一般的に適用可能な形で実装されており、今後さまざまな物質の構造相転移やその近傍の物理を調べていくうえで重要な足がかりになると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
計算した結晶構造にもとづいて、有限温度の物性の解明に取り組むことが次年度以降の最も重要な課題である。特に、構造相転移近傍の輸送特性の異常や外場による物性の制御に注目する。また、開発した手法の問題点として、現状では適用例がまだ少ないことが挙げられる。さまざまな物質に対してベンチマークをとり、手法の信頼性をより高めることも重要な課題である。
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