2023 Fiscal Year Research-status Report
Why has funding for national universities been competitive?: Focusing on policy-making processes
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22KJ1066
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 優太郎 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 国立大学法人運営費交付金 / 基盤的経費 / 成果を中心とする実績状況に基づく配分 / 文部科学省 / 予算編成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は主に、(1)運営費交付金の政策過程に関する分析、(2)運営費交付金における競争的配分の実施結果に関する分析、の2点を実施した。 まず、(1)運営費交付金の政策過程に関する分析については、論文の投稿および新たなデータの収集を行った。具体的には、2022年度に、分析の対象となる時期の一つ(民主党政権)に関して、政策文書や報道記事等の資料収集、および関係者へのインタビューを実施済であったため、これらに基づいて論文を執筆した(現在投稿中)。また、当該時期の他にも、別の対象時期(第2次安倍政権)について新たにインタビューを実施した。 次に、(1)の分析に関連して実施している(2)運営費交付金における競争的配分の実施結果に関する分析については、国内・国際学会での発表、および論文としての発表を行った。具体的には、前年度から継続して、運営費交付金内の競争的配分である「成果を中心とする実績状況に基づく配分」による各大学の交付額の変動と、その傾向の分析を実施した。この結果は、日本高等教育学会における発表を行った後(5月)、得られたコメント等を踏まえて論文化し、『季刊行政管理研究』に掲載された(12月)。さらに、以上の論文で得られた知見を基に、当該配分における教育・研究・経営面の指標による評価結果と運営費交付金の増減との関係について、新たに分析を行った。この成果は、世界教育学会(WERA)の年次会議において発表した(11月、査読付)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)の政策過程分析に関しては、論文としての発表は当初の計画に比してやや遅れを取っているものの、新たな時期について資料の収集および分析を進めることができた。また、(2)の競争的配分の実施結果に関しては、2022年度に整備したデータの分析結果を論文として発表することができた上、この知見を発展させる分析視点を得、国際学会において発表することができた。以上の内容から、研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、大きく以下の3点を計画している。第1に、(1)の政策過程分析に関しては引き続き資料の収集・分析を行い、(2)の競争的配分の実施結果に関しては2023年度に行った学会発表の内容を踏まえて論文を執筆・発表する。第2に、日本学術振興会若手研究者海外挑戦プログラムの支援を受けてUniversity of Twente(オランダ)に滞在し、高等教育機関への資金配分に関する研究指導を受ける。滞在先での学術交流等で得られた知見・コメントを踏まえ、(1)(2)の分析を進展させる。第3に、これらを基にして博士論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
交付申請時においては、2023年度は物品費300千円、旅費300千円、その他100千円の支出を予定していた。このうち、旅費は約300千円を予定通り支出した一方で、物品費は約120千円、その他は約80千円の支出に留まった。これは、研究計画の進展に応じて両者ともに支出の必要性を慎重に検討するなど、効率的な執行を行ったために生じたものである。これによって、2023年度から約200千円を2024年度に繰り越すこととなった。未使用額は、2024年度の交付額と合わせて、在外研究における研究環境の整備に必要な物品の購入や、研究課題に関する情報収集および成果の発表を目的とした国際会議への参加に係る旅費として支出する予定である。
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[Presentation] 高等教育財政の新たな動向と課題―国立大学・私立大学への資源配分の変化と影響―(日本高等教育学会会長プロジェクト)2023
Author(s)
羽田貴史, 辻優太郎, 齋藤渉, 塙武郎, 白川優治, 林透, 磯田文雄, 大場淳, 田中正弘, 丸山和昭, 荒井克弘, 小山竜司
Organizer
日本高等教育学会第26回大会
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