2022 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインノックダウンによる植物病原細菌ファイトプラズマの未知病原性因子の解明
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22J21601
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 旺樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | ファイトプラズマ / タンパク質分解 / プロテアソーム / 分泌タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物病原体は宿主細胞に「病原性因子」と呼ばれる様々なタンパク質を分泌し、宿主の細胞機能に影響を与え、自身の感染に有利な環境を作り出す。従って、病原性因子の機能解明は、病原体の感染戦略を理解し防除策を構築するために重要である。病原性因子の機能解析では、当該因子の欠損変異病原体を作出するのが一般的である。しかし、植物病原細菌ファイトプラズマは純粋培養系が確立されておらず、変異体の作出ができない。そこで、本研究では、分泌された病原性因子を植物細胞内で分解することで、病原性因子の有無を制御する新たな実験系を確立し、ファイトプラズマの病原性因子を解析することを目的とする。 病原性因子の分解には、ユビキチン化タンパク質がプロテアソームで分解されることを利用したプロテインノックダウン法を用いることを計画している。具体的にはユビキチン化酵素の標的結合領域を、病原性因子に結合するペプチドに置換した改変ユビキチン化酵素を作出し、病原性因子のユビキチン化とプロテアソームによる分解を誘導することを想定している。今年度は、病原性因子結合ペプチドを得るための研究を行った。まず、ファイトプラズマの病原性因子のなかから4つを選抜して、酵母ツーハイブリッド法でシロイヌナズナのcDNAライブラリーから結合因子を探索した。特に、病原性因子の1つであるファイロジェンと、その結合因子の一群であるMADSドメイン転写因子群(MTFs)との相互作用様式を詳細に解析した。その結果、ファイロジェンはMTFsに保存されたKドメイン内の特定の領域に結合することがわかった。さらにColabFoldを用いたin silicoでの複合体予測により、その結合様式をモデル化することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の計画通り、改変ユビキチン化酵素を作出するための、病原性因子(ファイロジェン)結合ペプチドを得ることができたことから、概ね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、病原性因子(ファイロジェン)結合ペプチドを用いた改変ユビキチン化酵素の作出に着手しており、完成後、病原性因子の分解誘導活性を評価する予定である。また、他の病原性因子についても、結合因子の中から結合領域の絞り込みを引き続き行い、改変ユビキチン化酵素を作出していく予定である。
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Research Products
(4 results)