2023 Fiscal Year Annual Research Report
標準量子限界を超える光計測に向けたパルススクイージングの極限性能の追求
Project/Area Number |
22KJ1078
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田口 富隆 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 行列最適化 / 光集積回路 / ユニタリ変換 / 線形光学 / 位相変調器 / 凸性 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学系、特に光集積回路では製造誤差によって想定していた性能が得られないことが往々にして起こる。光集積線形演算系では、この製造誤差を製造後に回避するためのキャリブレーションの方法が研究されてきた。キャリブレーションの方法は様々であるが、そのうち系の勾配を用いるものはその動作原理が簡素で扱いやすい。一方で、系の勾配は容易に得らるものではなく、光学系に追加のセットアップを加えて逆向きに光を伝搬させたり、高ノイズ性能の電気系を用いて初めて実用的な勾配計測が可能である。
そこで光集積線形演算系において、追加の光学系を用意することなく、そして電気系に高い性能を要求することもなく、系の勾配を得るための方法を考案した。これは、位相シフタが線形動作をするという仮定をおくと、任意の線形演算系のフロベニウスノルムがサイン波状の応答を示すという数学的事実に基づいている。本研究では、この事実にさらに中央差分法を組み合わせることで系の厳密な勾配が得られることを示し、その有用性を数値計算により示した。また、出力光を強度検出する系でも使用可能な位相不敏感なノルムを新たに定義した。このノルムは凸性を保つように新しく定義されており、その性質は数学的証明によって保証されている。昨年度に研究した、多面光波変換型のユニタリ変換器の再構成問題と組み合わせて使ってもその収束性が劣化せず、凸性が有効に働くことを数値計算で確認した。本研究結果は、系の勾配を得るという目的のみならず、系の線形性そのものを保証するためのテストとしても使用可能である。
本結果は夏にイタリアで行われた査読付き国際学会(Photonics in Switching and Computing)でポスター発表を行った。内容を論文にまとめ、査読付き雑誌に投稿しレビューを待っている。
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