2023 Fiscal Year Research-status Report
海洋細菌の光利用戦略ーアンテナ色素によるロドプシンの高効率な光受容機構の検証ー
Project/Area Number |
22KJ1110
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 敬允 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | カロテノイド色素 / ロドプシン / 海洋細菌 / 集光アンテナ |
Outline of Annual Research Achievements |
西部北太平洋から分離した海洋細菌Nonlabens marinus S1-08Tを対象とし、S1-08T株の持つ3種類のロドプシン(以下:NM-R1, 2, 3)のカロテノイド色素との結合能について調べた。大腸菌を用いた異種発現系を適用してロドプシンをHisタグにより精製し、S1-08T株の細胞懸濁液から抽出したカロテノイド色素を添加した。その後、再度精製し、吸収スペクトルを測定した。その結果、これらのロドプシンが全て、S1-08T株由来のカロテノイド色素と結合することを見出した。また、NM-R1, 3を対象にヒドロキシルアミンを用いてブリーチした結果、この2つのロドプシンは結合したカロテノイド色素と相互作用することを見出した。 これまでに発見された、カロテノイド色素も結合できるロドプシンは水素イオンを輸送するロドプシンのみである。NM-R1は水素イオン輸送型だが、NM-R3は塩化物イオン輸送型であるため、NM-R3と結合したカロテノイド色素は未知の相互作用をしている可能性がある。 次に、集光アンテナを塩化物イオン輸送型ロドプシンを備えるが多くの海洋細菌に共通する仕組みか否かを調べた。データベースより海洋細菌のPRのアミノ酸配列を取得し、系統樹を作成すると、S1-08株を含むBacteroidetes門、および海洋表層の優占種であるProteobacteria門のロドプシンは共通して集光アンテナを持つ上で必要なアミノ酸残基を保存することを見出した。これらの結果は、集光アンテナを塩化物イオン輸送型ロドプシンが幅広い海洋細菌に共通する仕組みであることを意味する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定通り、塩化物イオン輸送型ロドプシン、ナトリウムイオン輸送型ロドプシンがカロテノイド色素と結合すること、特に塩化物イオン輸送型ロドプシンが相互作用をすることを見出した。また、このようなロドプシンが海洋環境に幅広く分布することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
NM-R3と結合したカロテノイド色素をHPLCを用いた解析により同定する。また、結合したカロテノイド色素の役割は不明であるため、励起スペクトル測定やCDスペクトル測定、構造解析などから機能を探る。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Widespread use of proton-pumping rhodopsin in Antarctic phytoplankton2023
Author(s)
Andrew Sarah M.、Moreno Carly M.、Plumb Kaylie、Hassanzadeh Babak、Gomez-Consarnau Laura、Smith Stephanie N.、Schofield Oscar、Yoshizawa Susumu、Fujiwara Takayoshi、Sunda William G.、Hopkinson Brian M.、Septer Alecia N.、Marchetti Adrian
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences
Volume: 120
Pages: e2307638120
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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