2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22J22563
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
長谷川 敦哉 東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 量子計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の量子デバイスはノイズの影響が大きく、演算の回数を何度も重ねる(量子回路モデルにおいて深さを増やす)ことは難しい。そのような量子デバイスの計算能力を引き出す方法として、通常の計算機(古典計算機)との組み合わせを考えることが挙げられる。なぜなら我々は十分に規模の大きく、精度の高い古典計算機(スーパーコンピュータなど)を持っているからである。 近年そのような計算モデルにおいて、オラクルへのアクセスを仮定、つまりある関数の計算を一回の量子演算で呼び出すことができると仮定すると量子演算の回数が計算能力に影響するという結果が知られていた。より具体的には量子回路の深さをおおよそ倍にすることでそのような量子と古典のハイブリッドな計算機能の能力を真に増やすことができるということが示されていた。 我々は同じ量子と古典のハイブリッド計算機上で、オラクルの呼び出し方を変更しさらに下界の証明するために必要な関数をうまく定義することで、量子演算の回数の計算能力への影響に対するより強い結果を得た。具体的には量子回路の深さを倍まで増やさずに定数段増やすことによって、計算能力が真に向上することが分かった。これは量子と古典のハイブリット計算機モデルにおいて量子性を活かした演算の回数が計算能力にとても影響し、その影響を古典計算機で効率よく代替できないことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である量子優位性がどのような点に於いて活かせるかという問いに対して、量子演算の回数という直接的な設定で強い結果を得られたため。またその結果について幾つかの学会などで口頭発表を行い、研究結果について議論や周知を行うこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
量子コンピュータを利用するに当たってさまざまな使い方を考えることができ、別の計算モデルにおいてもどのような点において量子性をうまく活かすことができるかについてより深めた研究を行なっていく。また暗号や物理などの分野からの研究との関連なども探る。
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