2023 Fiscal Year Research-status Report
敵対的生成ネットワークを用いたデータ駆動型強震動予測手法の構築
Project/Area Number |
22KJ1148
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 雄馬 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 地震動モデル / サイト特性 / 深層学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
データ駆動型耐震工学の実現に向けて,本年度では主に下記の2点について研究を実施した. 1) サイト特性を詳細に考慮可能な地震動の生成モデル構築. 2) 深層学習を活用した耐震性能評価の枠組みの提案. 1)では,初年度に構築した地震動データの条件付き確率モデルをさらに発展させ,検討対象のサイトにおける地盤条件を詳細に考慮可能なモデルを構築した.これまでに提案されている地震動の時刻歴データを対象とした生成モデルでは,地盤条件を地表から30mまでの平均S波速度Vs30のみで説明するものがほとんどであった.本年度では表層地盤の特性を平均S波速度Vs5,Vs10,Vs20の3つの値で説明し,また深部地盤の特性としてS波速度がそれぞれ1.0km/s,1.4km/sとなる層深さD1000,D1400を使用することで,合計5つのパラメータでサイト特性を考慮可能なモデルを構築した.また,構築したモデルで生成されるデータの分析を行い,地震動データとサイト特性が概ね対応することを示した.以上のような検討により,特定のサイトにおける地震動をより適切に評価できるようになることが期待される. 2)では,初年度と本年度の研究内容を取りまとめる形で,深層学習技術を活用した耐震性能評価の新たな枠組みを提案した.耐震性能評価におけるいくつかの評価ステップにおいて,これまで構築した機械学習・深層学習技術を活用した手法を適切に導入することで既存の耐震性能評価の枠組みを高度化させ,データ駆動型耐震工学実現に向けた展望を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では,サイト特性を詳細に考慮可能な地震動モデル構築を行った.モデル構築に用いた手法は当初の研究計画とは異なる手法であるが,ある地点での地震動をより適切に評価できる展望を示したという点で,研究計画通りに進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では,当初の研究計画をさらに発展させ,建築物のリスク評価における新しい枠組みの提案を試みる.既存のリスク評価の枠組みにおいて,本年度までに構築してきた地震動モデルがどのように活用可能であるかを整理することで,データ駆動型手法を活用した地震工学の展望を示す.
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